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大阪の怖い場所の話を書こうかと思って~怖い話始め~

 これは幼稚園のころに聞いたという記憶が残っています。わたしにとって最初の大阪の怖い場所の話だったのではないでしょうか。

 JRが国鉄だった時代の話です。我が家から一番近い国鉄の線路は10分以上歩かないといけない場所にあったので昼間は存在を感じなかったのですが、夜になって空気が澄んでくると電車が線路を通るガタンガタンという音が聞こえてくるのでした。

 わたしは小さいころは宵っ張りでした。その日はもうすぐ終電かという時刻まで起きていました。すると母が国鉄の線路を電車が通るガタンガタンという音を聞きながら「お隣のようこちゃんのママから聞いたんだけどね・・・」と言ってこんな話をしてくれたのです。

 話題に上った国鉄の駅は最寄りではないものの身近な場所にあり、駅名はそのあたりの土地の名前でした。ところがかつては近くにある大きな古いお寺の名前がついていたそうです。とりあえず「〇〇寺」と表記します。

 その駅を通る国鉄の最終電車に一人の女性が乗っていたのだそうです。むかしのことですから女性一人で遅い時刻の電車に乗っているのを心配した車掌さんが声をかけたところ何も返事が返ってきません。車掌さんが変だなと思っていたら、その〇〇寺駅に電車が到着し「〇〇寺~〇〇寺~」とアナウンスされると女性はすうっと消えてしまったのだそうです。それから毎日最終電車には女性が乗っていて〇〇寺駅に着くと消えてしまう、そんな噂が立っていったのです。噂の真偽はともかく、そのせいで国鉄の乗員の人たちが怖がって最終電車の勤務を渋ったり乗客が怖がってしまったりして会社の方でも困ったことになりました。

 国鉄の人たちは、もしかしたらその女性は○○寺に所縁の人ではないかと考えました。そこでその駅の名前をお寺の名前からそのあたりの地名に変えたところ最終電車にその女性が乗っていることはなくなったそうです。

 今この話を書いていると定型の怪談だと思うのですがなにしろ当時は幼稚園児でしたからそれはそれは怖かったものです。

 国鉄のその駅名がお寺の名前から土地の名前に変わったのは事実で、そんな裏話があると巷で噂になっていたのを地元民であるようこちゃんのママが教えてくれたのでしょうね。駅名が変わってしまったので本当に女性が終電に乗ってくるのかどうかはもう確認することはできません。

 もっとも霊感のないわたしにはどうしたって確認することはできないのですけれども。

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