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新規仕事につながる人のご縁&単価交渉について〜京都ライター塾9期/第6回受講レポ

2023年7月から始まった京都ライター塾9期。幕が開けたばかりだと思っていたのに、なんと今日で全6回の講義が終了してしまった。ジェットコースターに乗ったかのようにあれよあれよと進んでいき、あっという間の2ヶ月間だった。

第6回の講義内容は、新規仕事の獲り方について。今回習ったことを超ざっくりまとめると、「自分がやりたいことをWebなどで日々わかりやすく表現していて、フリーランスの友達がいっぱいいればそれで仕事はまわるよ!」という話に集約される気がする、たぶん。なお、現時点でフリーの友達が一人もいなくても大丈夫なので話は最後まで聞いてほしい。

あとはクライアントとの価格交渉や単価計算のやり方など。フリーで強くたくましく生き延びるためには、お金としっかり向き合うのも大事・・・!

というわけで、”人との繋がり”と”お金”というポイントにフォーカスしつつ、印象に残ったことをお届けしていく。

京都ライター塾とは、ライター歴17年の江角悠子さんが主催する全3ヶ月の商業ライター養成講座です。書くことを仕事にしたい人たちを対象としており、少人数制で記事の書き方から仕事の獲得方法まで、未経験からライターとしてやっていくために必要なことを網羅的に学べます。さらに、講座内では毎回自己分析のためのペアワークに大きなウェイトを置いており、「ライターになって幸せになる」ことをコンセプトに掲げています。詳しくは江角さんのブログをチェックしてみてください。

▼第5回のレポートはこちら。


友達という名のセーフティーネット

フリーランスの素晴らしいところについて、意見は色々あると思う。だが、自由な働き方という点については、多くの人が認めるところではないだろうか。ただし、自由には孤独と不安定さが伴う。これについても、おそらく異論は少ないだろう。

会社員なら困った時は上司や先輩に聞けば、大抵は何かしらの答えが返ってくる。病気になっても有給休暇を取得することができるし、健康保険組合の傷病手当だってある。しかし、フリーランスは自分で環境を整えていく必要がある。

では、フリーの人間が孤独と不安定さをカバーするため、具体的にできることとは何か。そのひとつの解が、日頃から人との繋がりを作っておくことだそうだ。ライターなら、ライターや編集者が集まる交流会がある。または、ライター向けの養成講座などに参加して講師や同業志望者と知り合う手段もある。オンラインサロンをはじめとするコミュニティに所属するのもありだろう。

フリーランスの知り合いが増えていくとどうなるのか。まず、分からないことがある時や困った時に相談できる知人や仕事歴の長い先輩ができやすい。また、病気の際に自分が稼働できず、収入が下がることはやむを得ないが、そんな時でも頼まれた仕事を依頼できる伝手があれば、クライアントの信頼を失わずに済むかもしれない。

このように、フリーランスとして働く友人知人の輪は、時に不安定な働き方を支えるセーフティーネットとして機能してくれる可能性が期待できるのだ。

加えて、現場で知り合った人との間に共通の知人がいるなど、ひょんな縁から別の新しい仕事が生まれたりすることもあるらしい。

人の紹介で新たな仕事の縁が生まれる

フリーライターが仕事を獲得する手段として、これまでの講座では企画書を書いて持ち込む方法などを学んできた。が、それ以上に即仕事に繋がりやすいのが、人からの紹介だという。即!仕事につながる!!そういうのが大好きなのだよ。

新人の企画持ち込みにおいては、人にもよるが100社に連絡して20社返信があるかどうか、という感じらしい。さらにその中からすぐに仕事に繋がる案件は少なく、数ヶ月・数年越しに声がかかるなんてこともザラなのだそう。すなわち、長期的な種まきの側面があるということだ。その点、人の紹介経由の場合、企画や案件が既に決まっており、そこにアサインできるライターを探している場合も多いそうだ。

では、人から仕事を紹介してもらうためにできることは何か。話が飛ぶように聞こえるかもしれないが、ここで生きてくるのがブログである。多くの編集者が新たにライターを探す時、まず気にするのは過去の実績だそうだ。次に、その人の人となりや、何に興味関心があるのかということ。

ブログや公式サイトで過去の実績をまとめておいたり、自分が書きたいテーマの記事を書き溜めておけば、編集者に紹介してもらう時もURL一つで説明が完了する。逆に言えば、自分がこれまで手がけた過去記事のURLをひとつひとつ拾い集め、わざわざ先方に伝えてくれる人はなかなか奇特な存在だろう。

いきなりお金をかけて立派なサイトをつくらずとも、ペライチやnoteのアカウントで書きたいテーマの記事をまとめてあるだけで仕事に繋がるケースがあるという。

SEOのスキルを身につけて個人サイトにオーガニックな検索流入の導線を引くのは大変だが、ポートフォリオのような位置付けで記事をまとめておくことなら比較的ハードル低く取り組めるのではないかと思う。

一緒に仕事をしたいと思われる人の特徴

フリーで生きていくために、まず第一に大切なのは礼儀正しいこと。人の輪はどこで誰が繋がっているかわからない。うっかり横柄な態度をとってしまった相手が、実は売れっ子編集者と懇意にしていた、なんてことがないとも言えないのが怖いところだ。

損得のために礼儀に気を付けるわけではないが、礼儀を欠けば高確率でいつか損をするのもまた真理かもしれない。講座の受講生どうしで集まる時、交流会にいく時など、いついかなる相手に対しても礼儀は大切に、という江角さんの言葉を聞いて身が締まる思いだった。

それから、これは盲点だと感じつつ納得したのが、本業以外の小さなメリットを提供できる人が、最終的に人から好かれてチャンスをゲットしやすいということ。たとえばレスポンスが速い、フットワークが軽い、車を出してくれる、一緒にいておしゃべりが楽しい、など。

考えてみれば、それはそう。そもそも純粋な実力だけで人が人を公正公平に評価するなんてこと自体が難しいし、選ぶ側も人間である。どうせ仕事をするなら少しでもラクしたいし、楽しくて良い思いをしたいに決まっている。決めつけのように書いてしまったが、少なくとも私はそうである。(同じように思った人、怒らないから正直に言いなさい。)

ラクしたい、ああラクしたい、ラクしたい(五七五)。これは持論だが、自分の欲を認めるからこそ人の欲も許せるし、天然で人を喜ばせるための行動ができるんじゃないかね・・・知らんけど。仕事を頼みたい候補者の実力が同じくらいなら、一緒にいて居心地の良い相手を選ぶのは自然な心理ではないかと思う。

ちなみに、江角さんの場合は「仕事を受けられない時は、すぐ断る」または「別の人を紹介する」ということを心がけているそうだ。依頼主だって、タイムリミットがある中で人を探しているケースも多い。ダメな時はずるずる回答を引き延ばさず、さっと断れば依頼主にとっても別の人を探すための時間がより多く残る。さらに、断るだけでなく別の人を紹介してもらえればとても助かることだろう。

小声で言うが、こういう場面でおこぼれの仕事を紹介してもらえる人になりたいね。

みんな大好き、お金にまつわるあれこれ

今回の講義でとても興味深かったのが、見積もりの計算方法と単価UPの方法。ライターとして妥当な自分の単価はどうやって計算するのか。もし仮に過去の実績がない状態だったとして、あなたはパッと思い浮かぶだろうか。江角さんも、最初はお友達のライターさんから教えてもらったそうだ。

一つのやり方として教えていただいたのが、1ヶ月あたりに稼ぎたい金額と稼働時間から単価を計算する方法。例えば、1ヶ月に20万円を150時間の稼働で稼ぎたいとする。単純計算で時給は1,333円だ。とある記事を一つ書くのにかかる時間が3時間とすると、その記事で約4,000円はもらいたい、と考える。

もちろんあらかじめ先方の予算が決まっていて動かせないケースも多々あるが、もう少し単価をあげてもらえないか聞いてみると意外と通ることもあるという。あわよくば少しでも安く仕事をしてほしいというクライアントも中にはいるので、「これくらいの金額ならいいな〜」くらいのノリで安めの額を提示してくる場合もあるらしい。

何かを交渉する時って、そういうもんだと思う。つまり、最終的な落とし所を想定しつつ、プラスαの期待値を乗せた金額や数値を提示し合い、互いの中間地点を探っていくような。だからこそ、こちらも「これくらい上がったら嬉しいな〜」と伝えてみるのもありなのだ。

さあ、レッツ実践。江角さんからは、「ご予算もおありのところ恐縮ですが、最低◯◯円から執筆をお受けしています。」とマイルドに見せつつ交渉するための最強ワードも伝授していただいた。

また、仕事を細かく切り分けてそれぞれの作業に価格をつけることも重要だそうだ。仕事ができる人や人の気持ちがわかる人ほど、「これもやってあげたほうがいいかな」と先回りで気を利かせて仕事をしてしまいがちではないだろうか。

しかし、単価UPの観点でそれは御法度。親切のつもりで追加作業をしてしまい、その内容を伝えずにいると、クライアントは気づいてくれないこともままあるそうだ。

込み込みで必要そうな作業一式をやってあげたとしても、黙っていてはせっかくの付加価値に気づいてもらえない可能性がある。そのため、「必要かな?」と思った作業は自分の判断だけで進めず先方に聞いてみると良いそうだ。

もしそこで追加の作業を頼まれたら、きちんと値段を提示した上で正式に依頼してもらおう。察知する能力をお金に変える意識を持つべし!江角さんからその言葉を聞いて、目から鱗が3枚くらい落ちた。

2ヶ月の総まとめ

全6回のライター塾がすべて終わってしまった。ここで、最後の自己分析タイムで作成した自分の理念について発表させてほしい。

①楽しいことしかしない
②なるべくラクして頑張らずに仕事をする
③目的地を決めずなりゆきにまかせる

これから商業ライターになりたいかどうかについて、正直な今の気持ちを打ち明けると、よくわからない。えっ、お前あれだけカネカネ言っておいてただのポーズかよ。そうではないのだけれど、あえて目標を商業ライターに限定しなくてもいいのかな、という気持ちなのだ。

私はこれまで、何か目標を定めては頑張ろうとして、でも頑張りきれずに挫折を繰り返してきた。20代から30代前半にかけて、細かいものも含めるとたぶん10回くらい転職しているし、副業やら資格試験やらにも7〜8種類は挑戦している。でも、どれも全然形にならなくて、自分はダメな奴なんだと思って生きてきた。

それはたぶん、何か既存の素敵な、自分以外の別の存在になろうとしていたからなのではないかと思う。自分の心が楽しいと感じるかどうかは脇に置いて、目標ありきでゴールから逆算して走れる人はいい。でもどうやら、私はそういうタイプではないようだ。ここまで来れば、もはや認めて諦めるしかないだろう。

私は本当は誰より心や感情でものを決めるし、行動するタイプの人間だ。それが気持ちに蓋をして根性でどうにかしようと四苦八苦してきたのだ。上手く行きっこない。

だから今後は、ライターという既存の枠に当てはめず、自分がやってみたい、面白そうだと感じる活動を小出しにしてみて、ポートフォリオに集めていこうと思う。そして、自由な心で生きる友達の輪を広げていこう。戦略も何もあったものではなく、なんとも頼りない話だけれど。

でも、目的地を決めずに積み上げ式でコツコツやっていくうちに、ある時ふと景色が変わっているといいなと思う。

京都ライター塾に来て一番よかったことは、実はライターとしてのスキルやテクニックを学べたことではなく、自己分析にじっくり取り組めた事だ。

最初の頃はやはり、素敵な自分になりたいという願望が素の自分にまさって、だいぶフィルターのかかった理想像を自己分析用のノートに書き込んでいたと思う。

“北國なつ野”というペンネームも私の本名からはかけ離れているのだけれど、一生懸命に頭をひねって講座用に素敵だと思えるものを考えた。でも、やっぱり講座の最後までどこか自分らしい名前だとは思えなかった。

それがある時自己分析のワークに取り組んでいて、私は今まで自分自身にすごく制限をかけていたんだと気づく瞬間があった。自分自身の感覚よりも、常に外側に正解があって、自分もその正解と同じように感じたり考えたりすべきだと思い込んでいたのだと腑に落ちた。

講座が始まって以来ずっと、書きたいことが特にない、特別好きなこともないことに悩んで、毎回エネルギー切れのままなんとかレポや課題の記事を書いているような感覚だったけど、ようやくのびのび書けるようになってきた気がする。

江角さんにも、講座生の中で一番文章が変わったと最後に言っていただき、本当に嬉しかった。この際せっかくなので調子に乗り、引き続き自分のペースで進んでいきたい。

最後に、素晴らしい講座の受講機会と丁寧な指導をしてくださった江角さんと、旅路をともにしてくれた同期の仲間に感謝したい。本当にありがとうございました。

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