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補助金申請にあたっての準備とは

noteを更新する事が久しぶりになってしまいました。

2020年は大変お世話になりました。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

きたごう行政書士事務所 長田怜也です。

よろしくお願いいたします。

2021年も経済産業省関連の補助金事業は継続の見通し

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、例年と違ってコロナで影響を受けた事業者に向けた優先採択や、特別に予算枠が設けられたりして、難局を乗り切るための支援が多々ありました。

小規模事業者持続化補助金なんかは、上限額が倍になったりして(一般型:50万円→特別型100万円)応募者多数でした。

第3回などは予算と応募者のバランスもあって採択率がこれまでの80%近くから34%程度に落ちるなど厳しい競争になりました。

補助金のために事業を行うのは、はっきりいって良くないのですが、狙っている補助金があるのなら準備はしっかり行っておいた方が良いと思います。

スケジュールは下記の通りです。

スケジュール202101

コンセプトを決めておく

今から2月のそれぞれの募集の締め切りに間に合わせるには、当然行うべき事業のコンセプトを決めておく必要があります。

ここでポイントなんですが、よくお問い合わせいただくときに、実際にどう進めてゆくか、具体的な事は「採択後」に決めるのでまずは申請に間に合わせる事業計画を立ててほしいというお話をよく聞きます。

実際のところ、補助金というのは経済産業省が税金を使って行う、「事業」になるので、経産省が「こうしてゆきたい」と思うテーマがあります。

それが「公募要領」として公開されるわけですが、経産省の理想と事業者の現状にはズレがあります。年間総賃金を毎年1.5%あげてくださいとか中堅どころの事業者には割ときついですよね。

要件はおいておいて、補助金にはそういった意味で審査があって、より経産省の事業において優れた事業内容が採択されるので、できるだけ審査項目に合致している計画書をたてておきたいと思うのは当然です。

とはいえ、導入したい設備だけ決まっていて、実際どんな効果を出したいのか。あるいはどんな事業を展開してゆきたいのか。そこも「よきにはからえ」では、まかせたコンサルからあがってくる事業計画書に苦笑いしてしまうのではないでしょうか。

社長「こんなの(売上計画やスケジュール)無理やで・・・」
コンサル「こうしなきゃ採択されませんよ」
社長「採択後に変更って可能?」

というきな臭い会話が繰り広げられることになります。

これね、ワタクシも経験あるんですが、採択優先になってしまうんですね。

ですので、実際に実現可能な「コンセプト」を事前に決めておいた方が良いです。コンサルは良く見せるのは得意ですが、現実問題、上から目線が多いので「採択させてやったんだからあとは知らん」というのも多いです。

コンセプトを立てるときは

コンセプトとかふわっとした事いいやがって!と思われると思いますので、できるだけ具体的に書こうと思います。

・ 動機

あえて面倒な補助金を使って事業を行うので、何かしら動機があるはずです。例えば、昨今の社会情勢を鑑みて、「これまでやっていた店舗販売が落ち込んでいるので、通販をはじめたい」とか、「元受け会社が超儲かっていて、下請けの当社にもクオリティを維持したまま発注を増やしたいといわれたけど、現在の体制ではギリギリ・・新しい機械を入れて生産増をしたい」とかいう何かしらの動機を探ってください。

・ 理想

動機に関わることなんですが、結局それでどういった事が成し遂げられれば良いのか。成功と言えるのか。考えてみましょう。

通販開始→ コロナ前より結果的に商圏が広がって売り上げが伸びた

生産増のための設備導入 → 元受けからの信頼があがった。さらに新しい受注元も開拓できるようになる。

この辺の見込みを考えてみましょう。

ここでひとつ注意点ですが、他の人から見て「絵に描いた餅じゃん・・」と思われないような現実的な理想を考えましょう。

画餅というのは、理想のすぐ向こう側にあるので、要注意です。
たとえば
通販システム導入 → 商圏拡大 → 海外でも勝負できる

たとえば通販開始により商圏が広がることまでは予測は出来ても、いきなり通販始めたからと言って必ずしも「絶対バズる」「海外市場へ進出」とは言えず、そこは大人になりましょう。バズるためには狙っていくより結果的に。という話なので、そこは事業の向こう側です。
海外にすでに顧客がいてそこへ向けての展開であればまた違う取り組みにもなるんじゃないでしょうか。

・ 誰に向けての事業なのか

いわゆるターゲットですね。明確なら明確なだけ良いです。

ここはやはり現状に即した設定が良いかなと思います。

小売店の通販ならば、「女性向け」「20~40代」「社会人向け」など想定している商品に併せての事業となると思いますし、
たとえば新商品の開発なら、それが受け入れられるであろう層を想定していると思いますので、それを洗い出します。

また、それが本当に受け入れられるものなのか冷静に判断する必要があります。

多少とがった事業なのであれば、受け入れられるという何か根拠が欲しいですね。

マヂカルラブリーは以前、審査員のあのお方には受け入れられなかった芸風も時代が追い付いて(R1でも野田クリスタルが優勝していますし)M1優勝ですからね。

いまのはもののたとえです。その事業が本当に想定しているターゲットに刺さるかどうか(売れるのか)、判断する必要があります。

・ 競争優位性

あと、通販システムに関してはコロナ前からも普通にありますし、ショッピングサイトなどでは自社で作るより楽〇とかAmaz〇nとかに出店する方がよい場合もあったりします。

テナント料払ってもそちらの方が訴求力高ければ、効果は高いですが、補助金でどうにかする話ではありません。(100%認められないというわけではありませんが、正直採択する筋かと言われると違います)

上記の「動機」「理想」「ターゲット」を確認したうえで、本当に他社との差別化が可能で、ニッチな市場または競合に対し、優位性を発揮できるのか考えた方が良いです。

となりのお店がやっているからやらないと遅れちゃう!という競争劣後の解消では補助金採択は難しく、ある種の独自性を発揮してゆく必要があります。

前にも言った通り、あんまり尖っていると「それ売れるのかい?」という話にもなりますので、そこも視野に入れつつ。

面倒な話ですが、補助金の原資は税金ですので厳しく、かつ優位性のあるものを採択されます。

そこで活かすべきは、「過去」です。

現在に至るまで、創業している前も後も、様々な経験をしてきているはずです。自分の過去を振り返って、いわゆる「強み」をみつけてゆきます。

この強みの見出し方に関してはまた別の記事で書こうと思いますが、それが「他社にはない自分だけの強み」それを活かした「優位性」につながるわけです。

4つを踏まえてまとめてコンセプト

上記4点を踏まえて、ひとつのストーリーを紡いでゆきましょう。

1,【動機】 コロナの影響で来店が減った。ネットで勝負しよう

2,【ターゲット】 今のお客さんは女性が多い。30代のOLさんと主婦層が中心だからそこをターゲットに。

3、【競争優位性】 これまでウチの商品は、わざわざ遠方から買いに来てくれた人もいた。またずっと続けているインスタもあってフォロワーも2000人いる。近隣の同業他社ではこうした状況にはない。また、仕入れルートも確保できていて、ネットにすれば仕入れコストを減らせる。そしてそれを価格に反映できる。

4、【理想】 静岡県だけでなく、全国に向けて売り出すことが出来る。インスタや自社システムにより価格を抑え、充分市場で勝負できる。

こうしたストーリーを紡いで、そのまとめがコンセプトです。

「自社独自のネットワークを活かした、ネットショッピングへの進出でコロナ禍、ウィズコロナでも事業を継続できる事業」

こういうことになります。

無理なく、ちょっとやれば実現できることを

いずれにしろ補助事業と言うのは投資ですから、自社の経営に大きな影響を与えます。

補助金は救済金や給付金ではなく、事業に対しての国からの投資なので、責任をもって遂行する必要もありますし、審査も厳しいですし、報告もめんどくさいです。本当にめんどいです。

ならば、せっかく使うのであれば、自社も最大限の効果を発揮させたいですよね。

そのためにもあらかじめコンセプトは言語化しておく方が良いです。

最後にCMですが、弊所ではそうした「なんかやらなきゃなんだけど、うまく言えないな~」という段階からお手伝いさせていただいております。

結果的に補助金を使わないなんてこともあります。

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


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