小規模事業者持続化補助金 公募要領を読む 2回目【無料記事】
前回のあらすじ
前回の続きからいきます。
補助対象事業
(1)策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な 販路開拓等 (生産性向上 のための取組 であること。 あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
生産性向上というのと、地道な販路拡大というのがキーワードです。
生産性向上というのは「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」というものがありまして、このガイドラインに沿って策定するのが望ましいとされています。
このガイドライン、ものづくり補助金の場合、こちらのガイドラインか、高度化法のどちらかとの関連性を明確にしなければならないのですが、持続化補助金ではあくまでも指針として示されています。
何をやったらいいの?という行動の指針になりますので、どうぞ参考にしてください。
公募要領の順番が前後しますが、生産性取組の事例も書かれています。
【「 サービス提供 等 プロセスの改善 」 の取組事例イメージ】
・業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減
・従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
【「 IT利活用 」 の取組事例イメージ】
・新たに 倉庫管理システム の ソフトウェア を 購入 し、 配送業務 を 効率化 する
・新たに 労務管理システム の ソフトウェア を購入し、人事・ 給与管理 業務 を 効率化 する
・新たに POS レジソフトウェア を購入し、 売上管理 業務 を 効率化 する
・新たに経理・会計 ソフト ウェア を購入し、決算業務を効率化する
ただ、注意したいのはあくまでも「地道な販路開拓」を行う上での生産性向上を行わなくてはならないため、設備投資したら、販路開拓も行わなければなりません。
単体で設備投資だけの為にこの補助金は使えないという事になりますね。
・補助事業計画書「Ⅰ.補助事業の内容」の 「 2. 販路開拓等 (生産性向上 の取組内容 」に販路開拓等の内容 の記載がなく、 「 3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」 の記載のみでは申請できません ので、 ご注意ください。
そして、地道な販路開拓ですが
公募要領には事例を交えてどんなものか示されています。
・本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓や売上拡大の取組を支援するものです。
・開拓する販路として対象とすることができる市場の範囲は、日本国内に限らず海外市場も含むことができるものとします。また、消費者向け、企業向け取引のいずれも対象となります。
・開業したばかりの事業者が行う、集客・店舗認知度向上のためのオープンイベント等の取組も対象となります。
・本事業の完了後、概ね1年以内に売上げ につながる ことが見込まれる事業活動(=早期に市場取引の達成が見込まれる事業活動)とします。
海外で行う販促活動でも対象ですし、なんとオープンイベントも対象です。
で、どんな活動ならいいのかですが、
・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな 販促用チラシの作成 、 送付
・新たな 販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
・新たな 販促品の調達、配布
・ネット販売システムの構築
・国内外の 展示会、 見本市への出展 、商談会への参加
・新商品の開発
・新商品の開発にあたって必要な図書の購入
・新たな 販促用チラシのポスティング
チラシ作ってポスティングしても対象ですし、ECサイト作るのも対象です。展示会もいいですし、参考書籍買ってもそれが新商品の開発につながるのであれば対象となります。
・国内外 での商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
・新商品開発にともな う 成分 分析の依頼
・店舗改装( 小売店の 陳列レイアウト改良 、飲食店の店舗改修 を含む 。
店舗改装費も対象ですが、新たに不動産を購入する費用は対象とはなりません。
(2)商工会(商工会議所)の支援を受けながら取り組む事業であること
融資のあっせんでも、経営指導員から助言をもらうでもなんでもいいので、商工会議所(商工会)から支援を受けるように。という事です。
そのため、申請には商工会議所または商工会より、一筆をいただく必要があります。
(3 以下に該当する事業を行うものではないこと。
・ 同一内容の事業について、 国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む) する他の制度( 補助金、 委託費等)と重複 する事業
※持続化補助金では、同一の補助事業(取組)について、重複して国の他の補助金を受け取ることはできません。他の補助金を受給しているか受給予定の方は、補助金を受け取ることが可能か、必ず、双方の補助金事務局に、予めご確認ください。
・本事業の完了後、概ね1年以内に売上げ に つながる ことが 見込まれない事業
例)機械を導入して試作品開発を行うのみであり、 本事業の取組が直接 販売の見込み につながらない、 想定されていない事業
・事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの
例) マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等
同一の事業に関しては他の補助金や持続化補助金で申請はできないということですが、最後の一文で、いくら人数要件や法人形態の要件が合致するからと言って、公的な支援を受けることに適さない業種もありますよと、いうお話をされています。
例示されているのは、射幸心を煽るような娯楽業(マージャン、パチンコ、ゲームセンター)それから性風俗です。
例示されてはいませんが、キャバクラやパブ、スナックに関しても下りることは難しいのかなと思います。
お酒を提供する飲食店としては、バーや居酒屋なんかは大丈夫だとは思いますが、その線引きに関してはお近くの商工会議所(商工会)にお問い合わせください。
ちなみに、youtuberはどうなんだろう?なんて考えましたが、しっかりと持続可能な経営計画を立てることができれば、一定の物に関しては可能性はあるんじゃないかなとは思います。
(4 複数事業者による共同申請 の場合に は、連携する全ての小規模事業者 等 が関与する事業であること。
関与する度合いなどもありますが、そういうのもきちんと説明する必要があります。
金出しただけ、あるいは名前を貸しただけ。では共同申請できないこともあります。
補助対象経費
この項目は要約しながらざっとまとめていこうと思います。
これは細かいので、詳細は実際に公募要領を見ていただくのが早いと思います。
前提として
① 補助事業に確かに使ったと証明できる経費
② 交付決定日以降に発注したもの
③ 支払金額をきちんと証明できるもの
これが対象経費です。
また、実績報告をしないといけませんし、買ってOKではなくて実際に使って実績となるので、ここはご注意ください。
特にホームページは完成がギリギリになり、実績報告までに公開できていないなんてマヌケなホームページ制作業者もいるので、これは本当にお気を付けください!
そして、経費の支払い方法は、原則、銀行振込です。
特に単品10万円以上のものは現金支払いは一切認められていません。
それからダメな事としては
・ 小切手はだめ
・ 売掛と買掛など相殺はダメ
・ クレジットカードは引落が期間外の場合はダメ
・ 仮想通貨はダメ
・ 電子商取引は証拠書類が残せないものはダメ
お金の流れのややこしいものはダメという事です。お金のことですからここは縛りが多いですが、補助金なんでこれは仕方ないです。
そして、経費の内容は以下の通りです。
それぞれの内容の説明は実際の公募要領を見て欲しいのですが、注意するべきこととして
① 機械装置
では、自動車や、汎用性のあるパソコンなどは対象外です。
そして、中古品に関しては必ず2社以上から見積もりを取ってください。
これは不当に高くまたは安く物品を譲渡しないように、価格の妥当性を図るためのものです。
⑨の専門家謝金ですが、この補助金の申請の為にワタクシのような士業に申請書のアドバイスをもらって支払う経費は補助対象にはなりません。
⑬の外注費は主に店舗改装にために内装工事業者さんに支払う経費ですが、さっきも言ったように不動産の「取得」は対象となりませんので、増築や増床の場合、あくまでも不動産の取得とならないようにご留意ください。
そして、機械装置などでも、オークションで落札はダメです。市場価格と乖離していることがあります。
専門家に接待したり、打合せでお茶菓子を出したよ。も当たり前ですがダメです。
それから大事なのは、「振込手数料」なども対象とはなりません。
さらに言えば、消費税(免税事業者を除く)やその他税金も対象とはなりません。
補助率など
基本は皆さんご存知、上記の通りです。
補助金額が100万円になる場合
①本事業への申請日の時点で、本事業の対象者要件を満たしている 小規模 事業者 となっていること。
申請時点で 開業して いない創業予定者は、本事業の対象外です 。 また、特定非営利活動法人は、この補助上限引き上げ措置の適用対象外です。
②産業競争力強化法に基づく 「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」
による支援を過去3 か年度 の間に受 けた こと
この2つの条件を全て満たした事業者は補助上限額が100万円となります。
前まであった、「買物弱者への取組」は今回は上限額は上がりませんのでご注意ください。
加点項目
申請の日にちや流れは飛ばしまして、加点項目です。
【新型コロナウイルス加点】
物騒な加点名にしてしまって申し訳ありません。
新型コロナウイルス感染症への役員・従業員の罹患による、同感染症による直接的な影響を受けている、または、新型コロナウイルス感染症に起因して、前年同月比10%以上の売上減少が生じている事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点(=新型コロナウイルス感染症加点)を行うものです。
前年同月比の基準月ですが、3月締切の分は2020年2月が基準月となります。
で、直接的な影響とは
・ 従業員や役員が感染してしまっている
ことで、証明として、病院からの診断書を添付する必要があります。
売上減少の証拠書類なんですが、少々面倒で、
・ 市区町村から「売り上げ減少の証明書」をもらう
・ またはセーフティネット保証4号を受けている場合はその認定書の写し
が、必要です。(当社比)では証拠にならないって事ですね・・
【賃上げ加点】
ものづくり補助金では申請要件だった事柄が、持続化補助金では加点項目となっております。
「補助事業完了後の1年間において、給与支給総額を1年で1.5%以上増加させる計画を有し、従業員に表明していること(被用者保険の適用拡大
の対象となる小規模事業者が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、1年で1%以上増加させる計画)分かる書類」(=従業員に表明した文書の写し を申請書に添付して提出)
ものづくり補助金では3年でしたが、持続化は1年でよいという事になっております。
②「補助事業完了後の1年後、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を『地域別最低賃金+30円』以上の水準にする計画を有し、従業員に表明していることが分かる書類」(=従業員に表明した文書の写し)を申請書に添付して提出。
こちらも同様です。
表明する書類はどんなものか?ですが、ものづくり補助金の申請の際の参考様式がありますので、そちらをご参照ください。
【事業承継加点】
事業者が満60歳以上で、補助金の事業はその後継者が主体となってやる場合、加点となります。
代表者が地域の 商工会議所 (商工会)とご相談のうえ 商工会議所 が作成・交付する「 事業承継診断票」 を申請書に添付して提出することが必要です。
それから証拠書類として
・ 代表者の生年月日が証明できる書類(運転免許書のコピーなど)
・ 後継者候補の実在確認書類(役員の場合、履歴事項証明書など)
の提出が求められます。
【経営力向上加点】
基準日までに経営力向上計画の認定を受けていれば、加点となります。
ちなみに3月締切分の基準日は2019年12月31日です。
今から認定の為、申請書出して、間に合うのはおそらく第4回目の来年2月です。他は今年の3月31日までに認定されていないと加点されません。
【地域未来牽引企業等加点】
これも基準日までに認定されていれば、加点となります。
似たような名前で「地域経済牽引事業計画」がありますが、こちらは違うのもですのでご注意ください。
今回はここまで
刻んでしまって申し訳ありません。
次回は審査項目について公募要領から見ていこうと思います。
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