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歌三線の始祖・赤犬子(あかいんこ)

3月4日は「さんしんの日」

さんしんの日は元琉球放送ラジオ局長でプロデューサーの上原直彦(1938-)によって提唱されたもので、1993(平成5)年から毎年この日にはRBCiラジオで「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」と題した公開生放送を行っている。

2020(令和2)年の第28回以降は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン配信のみでの開催が続いていたが、第31回を数えた今年は4年ぶりに琉球放送会館に会場を設けての放送となった。

もちろん当日会場へ足を運べない人でも、ラジオやRadiko、そしてYouTube生配信によって全世界から放送の模様を楽しむことができる。

第31回 ゆかる日 まさる日 さんしんの日(第1部)
11:45~15:10

第31回 ゆかる日 まさる日 さんしんの日(第2部)
15:50~17:15

第31回 ゆかる日 まさる日 さんしんの日(第3部)
17:50~21:00

このように、琉球の伝統楽器・三線さんしんとそれに乗せて奏でられる島唄の数々は、現在でも世界のウチナーンチュの心に響き親しまれ続けている。本記事では、そんな歌三線の元祖にまつわる言い伝えについて、簡単に触れていきたい。

赤犬あかいんについて

赤犬子は15~16世紀頃の伝説上の人物。生まれながらにして美声と音楽の才能を持ち、「テントンテン」という雨だれの音を聞いたことから三線を考案したと伝わる。ちなみに私がSNSで名乗っている「北の赤犬子」という名前も、畏れ多いながらこの赤犬子にあやかったものだ。
赤犬子にまつわる伝説はこちらが詳しい↓

聖地・赤犬子宮あかぬくー

民謡はもとより島唄ポップスなど、三線を使用した音楽を習っていたり愛好していたりする諸氏には、ぜひ一度は読谷よみたん村楚辺にある赤犬子宮あかぬくーを参拝してもらいたい。というのも、前節で述べた赤犬あかいんが祀られている聖地だからである。

〒904-0304 沖縄県中頭郡読谷村楚辺1189
駐車場がないため、車でアクセスする場合はすぐ近くの「ファミリーマート読谷トリイステーション前店」に置いて短時間でさっと参拝を済ませましょう。コンビニの駐車台数が10台しかなくすぐ満杯になるため、長時間の駐車はご法度!
路線バスは系統番号28、62、228番にて「赤犬子宮前」下車。

赤犬子宮(筆者撮影)

また、赤犬子宮から少し離れたユーバンタの浜の一角には、赤犬子の墓が建てられている。

〒904-0304 沖縄県中頭郡読谷村楚辺1925
車は楚辺公民館に駐車。こちらも長時間停め置かないよう注意!

赤犬子大主之墓碑(筆者撮影)

山内昌春先生の名曲・赤犬あかいん

赤犬子伝説を踏まえた民謡曲として、タイトルそのまま「赤犬あかいん」というものがある。本部町崎本部出身の詩人・平識ナミ(1908-99)が1983(昭和58)年に書いた詞に、赤犬子が祀られている読谷が地元の唄者・山内昌春(1943-2022)が曲をつけて歌った。

動画中つらね部分の字幕が「犬子美童ぬ」と間違っています。正しくは「犬子音上がりぬ」

赤犬あかいん
作詞/平識ナミ 作曲/山内昌春

【つらね】
うたとぅ三線さんしんぬ んかしはじまいや
〈歌と三線の 昔の始まりは〉
いん子音上くにあがりぬ かみさく
〈赤犬子という音頭取りの 神がお作りになったことから〉

たずたずにやい うたむとぅとぅめてぃ
〈尋ね尋ねて 歌の元祖を探し〉
うがでぃりやびら うたゐん うたゐん
〈拝んで知りましょう 歌のご縁を〉

ぬぶ石段いしだんに くくるみてぃ
〈登る石段に 私は心を込めて〉
あやかりてぃ見欲みぶさ うたなさき うたなさき
〈あやかってみたい 歌の情緒を〉

だんじゅとぅゆまりる 読谷山ゆんたんじゃぢり
〈じつに名高い 読谷山間切[読谷村]〉
あひな赤犬あかいん うたむとぅ うたむとぅ
〈あれほどの(高貴な)赤犬子は 歌の根元[ルーツ]〉

はな読谷山ゆんたんじゃ うたはなちゅさ
〈華やかな読谷に 歌の花が咲くよ〉
しるなみぬ うとぅしてぃ うとぅしてぃ
〈押し寄せる波の 音に乗せて〉

んかし年寄とぅすいぬ ふぁなしどぅちゃる
〈昔、お年寄りの 言い伝えで聞いた〉
った読谷山ゆんたんじゃ うたむとぅ うたむとぅ
〈私たちの読谷は 歌の地元であると〉

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