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プッシュホンとピアノと夕焼けと #ポポパポペピアノ
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部長は役職部屋の窓から外を見ている
稜線は夕陽に染まっている
明日で定年の彼は溜息をついた
やはりだめか そこへ 眼を掛けていた開発部の青年が入ってきた
できたか
青年は自信なげに図面を見せた
やはりキーボードか
すいません 青年は肩を落とした
彼は 俺の我が儘だ 気にするなと慰めた
プッシュホンの音 ピアノ 夕焼け
これらが三位一体となる何か それを彼の心は切なく求めていた
次の日の午後5時 ロビーには部下達が整列していた 秘書から花束が渡され、彼が簡単な挨拶をすると、昨日の青年が手荷物くらいの箱を差し出した
なにかな
開けてみてください
おもちゃのピアノだった
ファ を押してください
ポポパポペ
ソ を押してください
自動で鍵盤が動いた 夕焼け小焼けだった
彼の眼から涙が溢れた
単身赴任中 家に電話した時
娘がおもちゃのピアノでこの曲を弾いてくれた これだったか
どうしてこれを
昨日あれから娘さんに電話で聞きました 明日カナダへ戻られるそうですね
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