劣化が進む日本の民主主義

今私が読んでいる本の一節を紹介します。

「実際、今の民主主義が本当にベストの政体だと自信を持って言える人がどれだけいるでしょうか。  今の政治の世界は、少しでも失言すると、すぐにやり玉に挙げられて徹底的に叩きのめされ、辞職にまで追い込まれることも珍しくありません。もしかしたらその人は政治家としては優秀かも知れないのですが、そのことが問われることはありません。  もちろん、何を以て政治家として優秀と判断するのかというのは難しい問題ですが、個人的なスキャンダルや失言だけで全人格を否定してしまうという今の風潮には疑問を感じます。  他人の失言をよってたかって叩く人々の姿は、古代の陶片追放を彷彿とさせ、わたしはあらためて民主主義はポピュリズムなのだと思ってしまいます。  でも、そう思った方がいいのではないでしょうか。  そうした前提に立っていれば、民主主義がポピュリズムに陥ったなどと嘆くこともないし、民主主義が最も優れた政体だとやみくもに思い込むこともなくなるからです。それに、所詮はポピュリズムなのだと思っていれば、少しはマシなポピュリズムをつくろうという、前向きな考え方ができるようになるのではないでしょうか。」(『教養としての「ローマ史」の読み方』(本村 凌二 著)より)
教養としての「ローマ史」の読み方
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