深淵をのぞかない。

「到達したかと思った海溝の底に、さらなる深淵が隠されたことに気づきつつあった」――。金子達仁の『28年目のハーフタイム』に出てくる一節だ。読んだのは25年ぐらい前だが、今日ふと、この一節を思い出した。ドラゴンズの試合を見たからだ。

ドラゴンズファンの今の心境は、まさに「到達したかと思った海溝の底に、さらなる深淵が隠されたことに気づきつつあった」ではないでしょうか。負けるのはしょうがないさ。しかし負け方にしても、いろいろ出てくる真偽不明の記事にしても、闇が深いよね。深い。

だってさ、開幕前は侍ジャパンに勝ったんだぜ。その後、世界一になるチームを相手に7対2だぜ。ずっと苦しい時期が続いていたけど、去年で底を打った。ようやく今年から上向くんだ。そう思うじゃん。

違ったわけさ。海溝の底に、さらなる深淵が隠されていたのさ。気を付けよう。何だっけ。ググろう。「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」か。そう。だから僕は深淵をのぞかないよ。のぞかないようにドラゴンズを応援するよ。