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OPEN DISCUSSION.03

OPEN DISCUSSIONは、金沢工業大学にある五十嵐アーカイブで開催されるラーニンングプログラムのひとつです。アーカイブのスタッフがファシリテーターとなり、毎回異なるテーマに対し参加者が様々に意見を交わします。

第3回目のテーマは、「身近なデザイン(工夫)について話そう」です。ディスカッションの前にNHKラーニングで放送されている建築家の乾久美子さんの「無名の工夫の集積にデザインを見る・静岡」という番組を視聴しました。番組では、乾久美子さんが自然の中を探索して“小さな風景”の中のデザインを見つけ、その面白さを考察するという内容でした。“小さな風景”の中のデザインには、ありものの板でしつらえた小さな橋のような誰もが使えるデザインや漁で用いるプラスケットを逆さにしてあつらえたテーブル、階段の段差を用いた即席の料理用カウンターがありました。“小さな風景”のなかのデザインとは、デザイナーが存在せず、生活者の工夫の積み重ねによりできたものを指します。

視聴後は、私たちが住んでいる金沢(石川)の地理的・気候的特徴について話し合いました。いつも曇っている、雨がたくさん降る、雪が降るなどの意見が飛び交いました。石川ならではの地理的・気候的特徴を生かしたデザインは?というファシリテーターからの問いかけに対し、出てきたのは雪吊りという返答でした。北陸の雪は北海道や東北の豪雪地域と比べると水分が多く、雪が重いため、樹木の枝が折れないように雪吊りをしていて金沢の独自の景観を生み出しています。

続いて、そもそもデザイン・デザイナーとは何なのかという話題になりました。「“デザイン”という言葉を日常で使う?」というファシリテーターの問いかけに対し、参加者からPowerPointでスライドを作るときにデザインという言葉を使うという返答がありました。この学生は見た目の印象や相手への伝えやすさを意識してスライドを作っているそう。「誰もが自身のことをデザイナーと呼んでいいか?」という問いかけには、違和感があるとの返答がありました。その理由は、デザインを仕事としているプロとは、完成度が異なるためだからだそう。一方で、あえて素人がやりそうな色や形の組み合わせ、レイアウトを用いたデザインをひとつのスタイルにしているデザイナーもいるという声がありました。

最後に参加者に事前に提出してもらった身近なデザイン(工夫)を発表してもらいました。用水路をまたがずに通れるように敷かれた鉄板、田んぼの水を制御するために置かれた木片など、通学路に見つけた工夫を紹介した人もいれば、自身の祖母の趣味に工夫を見つけてくれた人もいました。不用品をリサイクルして新しいものを生み出すことが得意で、古い着物を切り取って絵にしたり、紙コップを小物入れにしたり、牛乳パックをミキサーにかけて紙にしたりしているそう。カラス対策でゴミ箱の上に板を置く工夫を私たちが通っているキャンパスで見つけて紹介してくれた人もいました。身近にデザインされたことやものがたくさんあることを実感しました。身近な場所でも普段から意識を向けて歩けば、意外なところに面白い工夫が見つかるかもしれません。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
(本投稿は、議事録を担当した学生スタッフによって執筆されました)


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