サンドイッチ戦線

　キッチンに置いてあった食パンの袋をつまんで
「なんで？」
と、長女。

　普段は５枚切りを常としている食パンなのに、今日はそれが６枚切りであることに疑問を持ったらしい。

　と、私は思ったのだが、妻の反応は違って

「なんで💢？」と、
　つまり、長女の言葉がいつもと違うものに対するいらだちの言葉に聞こえたようだ。

　いやいや、なぜなのかと疑問に思っただけだよと、その場をとりなそうとする私。

　一瞬怪訝な表情が覗いた妻も、あぁ尋ねられただけなのかと
　「いつも買ってるそのパンの、５枚切りが品切れで６枚切りしかなかったのよ」

　私はてっきり値引きシールが貼ってなかったからだと思ったのだが、余計なことは言わずにおこう。

　「関西人は５枚切りしか使わんから６枚切りなんて売らんでエエのに。」

？・・　そうなのだろうか？

　「食パンは５枚切りか、サンドイッチやったら１０枚切り。」

？・・　８枚切りじゃないの？

　「８枚切りなんて使わん、いっつもサンドイッチは10枚切りや。」

　いっつもって、サンドイッチなんてしたことあったっけ？

　コレや！　　コレが逆鱗に触れたようで

　「あっー！またそんなこと言いよる、いついつどこそこへ行ったとき面倒なのにわざわざ作って持って行ったやんか💢💢💢
　もうエエわ、そんなこと言うなら二度と作らん💢」

　その前から何か不穏な空気を感じつつもやり過ごしてしまった私。
　その私の前方不注意による抗争勃発だ。
　いらんひと言が全てをぶち壊す。

　平和が愛おしい。