詰将棋の創り方講座 2手目

1手目の記事を読んでいない方はこちらから

お詫び:
収束の付け方と逆算の方法も書く予定でしたが纏まりが悪くなるので、別の機会に書こうと思います。


画像1

第4図(再掲)

第4図で、33馬とすると、22金又は飛合が出てきます。
宿題は「どうすれば22合が限定合になるのか」でした。

早速答え合わせに行きましょう。


解①「飛車と金の横効きに注目」
飛車は横に2マス以上、金は1マスだけ動くことができます。
この2つの性質の違いを活かせる形を作ってみましょう。

画像2

(仮想1図)
22の駒は飛又は金

仮想1図は第4図から、33馬、22(金or飛)合に、11の玉を31まで引っ張りだしてきたと仮定した図です。そして43歩を追加しました。
すると、22が金の場合、金は横に1マスしか動けないので、42歩成、21玉、32と以下詰みですが、22が飛の場合、横に2マス動けるので、42歩成には同飛と取れるので不詰です。
つまり、このような図を創れれば22合が飛車に限定できます。

画像3

第4図から25桂、43歩追加(第5図)

上記の条件を満たしたのが第5図です。
①33馬、22金合は、12歩、21玉、13桂、31玉、42歩成迄。
②33馬、22飛合は、12歩、21玉、13桂、31玉、42歩成、同飛、32桂成、同飛、43桂、41玉、51馬迄。

今までと違い何合をしても詰んでますが、飛合が最長手数となるので限定合になっています。都合よく駒も余らず詰んでいるのでこの図を完成形としました。

画像4

(第6図)

第1図~第5図を纏めるとこのようになります。
27飛は25桂を追加したことで発生した余詰を防ぐために置きました。
※27飛がないと、16飛、13角合、12桂成、同玉、13桂成、同桂、23角以下の余詰。27飛は23角を防いでいます。

画像5

第6図を逆算(完成図)
スマホ詰パラNo.7916 2016年8月9日発表
23歩成、11玉、12と、同玉、24桂、11玉、
16飛、13角合、同飛成、同桂、33角、22歩合、
同角成、同玉、32角成、11玉、33馬、22飛合、
12歩、21玉、13桂不成、31玉、42歩成、同飛、
32桂成、同飛、43桂、41玉、51馬迄29手詰。

第6図からの逆算はもっと良くできそうですが、創作当時の技術ではこれが限界でした。創作の知識と経験0の状態から、将棋友達に検討を手伝って貰いながら2週間かけて完成させた思い出の1作です。


解②「飛と金の斜めの効きに注目」
1手目の記事で如月モコナさんにコメントいただきました。
「(前略)33馬22合を取って詰ませられる状況を想定すると、金は斜めに利くので33金が打てるよう支えてやれば金合を消せるはず……
しかし23地点に利かせると飛車でも詰んでしまうので、34歩か25桂か45桂になるのかとー(香で支えると利きすぎて33馬22合12歩21玉32馬で詰み)」

画像6

第4図から34歩、45桂追加(第7図)

モコナさんのコメントを図化しました。(ついでに収束もつけてます)
33馬に22金合は、モコナさんのコメントにある通り金は斜めに効くので、同馬、同玉、33金以下詰み。22飛合に同馬だと、同玉で、33に飛を打っても王手にならないので不詰です。
34歩追加は飛と金の斜めの効きに注目した、実にシンプルかつエレガントな解答だと思います。

作意手順は、33馬、22飛合、12歩、21玉、32桂成、同飛、11歩成、43桂、41玉、51馬迄。
金合より飛合の方が2手長くかかり最長手数なので、しっかりと飛合の限定合になっています。

画像7

(完成図2)
作意手順:
16飛、13角合、同飛成、同桂、33角、22歩合、同角成、同玉、
32角成、11玉、33馬、22飛合、12歩、32桂成、同飛、
11歩成、31玉、43桂不成、41玉、51馬迄21手詰。

1~4図と7図を纏めました。
今度は第6図のような余詰は発生していないので27飛は置いていません。
原作より多分綺麗にできていると思います笑


想定解はこの2つになります。
3つ目があるとすれば「飛と金の前の効きに注目する」ですが、これは実現方法がわからなかったので省きます。もし思いついた方はコメントで教えてください。


詰将棋創作講座いかがだったでしょうか?
料理番組のように突然完成品がバン!と出てきてわかりにくい所も多かったと思いますが、創作の大まかな流れだけでも感じて頂ければ幸いです。
今回は書けなかった、収束の付け方、逆算、余詰の消し方等は、改めて詳しく書く予定なのでよろしくお願い致します。