詰将棋の創り方講座 1手目

「詰将棋の創り方について書いて」というリクエストをいただきました。

初回は僕の初創作作品を交えながら、
①限定合
②収束
③逆算
について2回か3回に分けて解説します。

やや手順が長めなので盤駒を出し並べながら読んでいただけると、より理解が深まると思います。

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(完成図)スマホ詰パラNo.7916 2016年8月9日発表
23歩成、11玉、12と、同玉、24桂、11玉、
16飛、13角合、同飛成、同桂、33角、22歩合、
同角成、同玉、32角成、11玉、33馬、22飛合、
12歩、21玉、13桂不成、31玉、42歩成、同飛、
32桂成、同飛、43桂、41玉、51馬迄29手詰。


どんな詰将棋でも創作の起点が存在します。
本作は限定合を出すことを目標に創作を始めました。

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(第1図)
創作当時は実戦オンリーだったので、実戦形のような雰囲気の図からスタートです。

まず、16飛とすると13にどんな合駒が出てくるでしょうか?
合駒は、「最長手数で詰むもの、又は詰まないもの」が選ばれます。
というわけで、(第1図)では合駒すると詰まない「歩、香、桂、銀、角」のどれかが出てきます。
※13飛合、金合は同飛成以下詰み。

5通りも合駒が出来てしまっては困るので、41角を置いてみましょう。
※33歩は16飛に22玉~33玉と脱出するのを防ぐために置いていましたが、41角の効果で16飛、22玉には32角成で詰むようになったので、省きます。

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第1図から41角配置、33歩消去(第2図)

すると今度は16飛に対して、13角合以外は同飛成以下簡単に詰みます。
※①13歩合は同飛成、同桂、12歩、22玉、32角成迄。
②13桂合は、同飛成、同桂、23桂、22玉、32角成迄。

つまり13角合の限定合が登場したことになります!
☆将棋の駒の中で頭が丸いのは「角」と「桂」だけ。
このような性質を知っておくと限定合が出しやすくなります。

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第2図以下の指し手
16飛、13角合、同飛成、同桂(第3図)

1回限定合が出てくるとさらに限定合を出したくなるのが人間というもの。
折角入手した「角」があるので、33角と打って合駒を訪ねてみましょう。

①22歩合は同角成、同玉、32角成、11玉で、12歩が打歩詰なので不詰。
②「香、桂、銀、金、飛」の合駒は同角成~32角成以下詰み。
③角合は売り切れのためできません。

①②③より22歩合の限定合が出ることがわかります。
☆角合のところで駒の性質について話しました。
ここでも、「打歩詰」という「歩」だけの性質によって限定されています。

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第3図以下の指し手
33角、22歩合、同角成、同玉、32角成、11玉(第4図)

2回限定合が出てくればもう1回限定合を出したくなるのが人間というもの。
33馬と引いて合駒を訪ねてみましょう。

①22「歩、香、桂、銀、角」合は、12歩、21玉、32馬迄詰み。
②22金合、飛合は12歩、21玉、32桂成、同金(飛)、11歩成、31玉で不詰。

①②より22の合駒は飛車か金合となります。
しかし、2通りあるので限定合にはなりませんでした。
そこで、第1図→第2図のように22合が限定になるように配置を調節する必要があります。

「どうすれば22合が限定になるのか」
これは次回の記事までの皆さんの宿題にしたいと思います。
正解はたくさんあると思いますが、完成図を見ながらでもいいので是非考えてみてください。
ヒントは「飛車と金の性質の違い」です。