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奢り、奢られ、貸し、貸され②

こんばんは。生粋と申します。

人の金で食う焼肉は美味い。なんてよく言いますが、あれは何もタダでいいもんが食えてラッキーというだけの話ではなくて、人情の味がするから美味いんだと思います。

今回はそんなお話。

最近クソが出なくなった。出すもんがないのでまあ当然といえば当然なんだろうが。

いい料亭とかでははらわたを綺麗にするために魚を絶食させてから調理するとかしないとか。

私の体は今おそらくそんな感じだろう。たぶん栄養とかと一緒に毒素も抜けて美味しくなってるに違いない。しかも余分な脂も落ちて、中年の方もダイエット中のお姉ちゃんにも優しい。

どうせならお姉ちゃんに食べられたい。本望だ

最後に食べたのはなんだったか。おそらく地元の激安スーパーで買ったふ菓子。この4日はふ菓子と水で凌いでいた。

そんな話をきいていた友人からのありがたいお言葉。「じゃあ飯でも行く?」

嘘だろ。天竺から来たのかこのお方は。もしくはドバイ。失礼な話だがこの時点では奢るともなんとも言われてないのに、ただ割勘で飯を一緒に食う誘いだとは微塵も思わなかった。
あと私は彼がどこからやってきたお方か知っている。天竺でもドバイでもなく白金だ。

実際はそんなことを考える間も無くかぶせ気味に礼を言っていた。しばらく食べないと空腹感をあまり感じなくなるが、急にお腹が空いてきた。

近場ならCoCo壱かそば、王将もあったか。
迷わずそばを選んだ。しばらく働いていない胃腸に無理をさせるわけにはいかない。

私は授業があったのであとで待ち合わせることにした。

インドネシア語の授業中はそばのことばかり考えていた。片想いしてた時くらい頭の中がそばでいっぱいだった。ようやく電波回線が復活したスマホで箱根そばのメニュー表を見ていた。

待ち合わせの場所はちょっと後光が差していたのですぐにわかった。彼の母は処女で彼を産んだに違いない。泥で眼病を治したこともあるだろう。

90分考えた私が叩き出した答えは「カケソバオオモリデオネガイシマス!」早口でさりげなく大盛りを頼む作戦だ。ただ彼は聖人なので入店前に「大盛り?」と聞かれた。私にも自分を恥じる気持ちが残っていたことに気づいた。

水無料がどんなに素晴らしいことか語っていると、私のそばができたらしい。小躍りしながらそばを取りに行った。

美味いとしか言いようがない。生まれて初めてメスのししゃもを食べた時くらい感動した。

余談だが私は家族ごと貧乏なので、kg単位で売ってるオスのししゃもが焼き魚としてよく出てきた。本来あれはダシを取るためのものらしい。

ともかくそのくらい美味かった。

別にいらないけど爪楊枝をもらって店を出た。
タダでくれるってものは貰っといた方がいい。

その後向かいのスタバにいるという彼の友人に会いに行った。

スタバを知らない方のために説明すると、なんか甘い液体を高値で販売してる悪徳業者だ。一度社会勉強だと思って入ったことがあるが、正気を疑う量のアイスコーヒーを出されたのでそれ以来行ってない。おそらく雰囲気で飲みたそうなものを出してくる店なのだろう。
余計なお世話だ。

彼女は会うなり、風呂に入ったか確認してきた。もちろん昨日は入ってないが、2日か3日前には入ったので入ったことにしておいた。

スタバにいる人は全員毎日風呂に入ってそうだった。あと金を持ってそうだった。

なんにせよ彼女は私の貧乏自慢を一通り聴いて、帰りの交通費をくれることになった。所持金16円の私からすれば、いやそうでなくても220円は大金だ。

私はそれを、明日の往路の交通費に使おうと考えた。どうせ暇人なので歩いて帰宅するのはあまり苦ではない。慣れたし。ただ朝歩きだと起床が2時間くらい早まるので、できれば電車に乗りたい。

まだ受け取ってもいないのにコスい皮算用をしていると、明日は授業あるのかと聞かれた。履修登録がヘタクソなのでもちろん毎日ある。

私という人間は大変浅ましいので、まさか明日の往路の分も???などと考えてしまった。
自分が恥ずかしい。

紙のお金が出てきた。

浅ましい想像のそのさらに上。

さすがに紙のお金を見せてくれてるだけかと思ったが、どうやら受け取ってもいいものらしい。条件反射で地面に手をついたところで静止された。どうやら駅前らしい。

これは彼女が金持ちだとかそういう話ではない。おそらく底なしにいい人なんだろう。
今日から性善説を信じようと思う。それから彼女は間違いなく天国に行く。現世でもぜひ幸せになってほしい。

まあそれでも歩いて帰った。金があったらあったで、それを減らしたくなくなるのが私という人間だ。浅ましい。

それからドバイの彼が2駅着いてきてくれた。
もし立場が逆だったら、自分に同じことができるだろうか。きっとさっさと電車で帰って、惨めな友人の現状を肴に酒でも飲むに違いない。

儲け話を考えながら帰った。レンタルなんもしない人になるのがいいという結論に至った。

別れ際、レンタル充電器を探していたのでせめてもと壊滅的に接触の悪いバッテリーを貸そうとしたが、やんわりと断られた。

あとで見たらまるで充電がなかったので荷物を押し付けることにならなくてよかったと心底思った。

金も電気も道徳もない。おまけにクソさえ出ない。何ならあるんだお前には。

充電器を借りたコンビニででかいお茶まで買ってもらった。2度と白金に足を向けて眠れない。袋を受け取るとオレンジジュースもどきも入っていた。なんとなく買ってくれたらしい。
もう例えが思いつかないが、とにかく彼はいい人間だ。

彼と別れてからさらに5駅歩くが、大した問題ではない。5駅では消費しきれないくらい飲み物を持っている。

帰り道に食パンとアイブロウを拾った。
これで腹を満たし、喉を潤した挙句まつげまでかわいくできる。素晴らしい1日だ。

食パンにも後光が差している

私が油田を掘り当てた暁には3割ずつあげるつもりなので楽しみにしていてほしい。


浅ましい人間なので申し上げます。
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