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表紙の試し刷りをしてから同人誌をつくる話

本記事はBL、成人向けの同人誌について記載しております。本の中身については一切触れませんが、ご理解いただきますようお願いします。

同人誌をつくるときに、最近はよく表紙の試し刷りをしています。
いまはWebでも長めのお話を公開できるのに、わざわざ本にするのは「本」という手にとれるかたちにしたいから。せっかくつくるのなら納品時に「失敗したな〜…」と思うよりも、費用がかかってもいいから、色々な印刷を試してイメージに近づけてから本にしています。
あと最近は試し刷りプランを設ける印刷所さんも増えているので、同人誌をつくられる方におすすめしたかったり、印刷所さんへの応援の気持ちも込めて記事にします。

今回つくった本
A6文庫本/120P、紺色の紙に金銀インク刷り、金インク刷りしたトレペを挟み込み。という仕様です。
本記事は表紙をつくってから、「この装丁にしよう!」と決めるまでの話です。

どの点においても、実際にはもっと良い手段・対応があるかもしれません。個人の試行錯誤録としてご覧ください。

まず表紙のデータをつくる

表紙のデータが出来上がったときのスクリーンショット。
このときは白地に金インク、もしくは紫色のグラデ+金インクで考えていました。

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そのため、ゴールド印刷ができるプリンパさんの試し刷り色校正サービスで、さまざまな紙に刷ってみることにしました。
今回作りたい本は文庫本なので、表1+表4に刷れるA5で注文。

試してみた紙
・新バフン紙N 絹 180kg(繊維の質感が印象的な和紙)
・ペルーラ スノーホワイト 180kg(上品なラメがきれいなキラ紙)

どちらも、白地に金インク、もしくは紫色のグラデ+金インクにしてそれぞれ印刷をかけてみました。

最初の試し刷りが届く

どちらも画像ではわかりづらいですが、参考程度の写真です。

新バフン紙N 絹 180kg

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ペルーラ スノーホワイト 180kg

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正直なところ、「イメージとは違う…」でした。
元々は紫色のグラデ+金インクのほうのデータのほうがイメージに近かったのですが、部数の都合上デジタル印刷(オンデマンド印刷)を検討していたので、濃い色のトナーを全面に刷ると和紙・キラ紙ともに紙の質感が消えてしまうことがわかりました。
また、全体的に印刷データの線が細いため、ゴールド印刷のツヤ感が出せず、白+ゴールド印刷でも勿体ない印象に。
うまい使いようはあると思うのですが、表紙データとの相性が悪いと感じたので、こちらは断念。

全面箔(オリジナル箔表紙)のことを思い出す

ではどうしよう…と思ったところで、以前COMIC CITYで出展していたPICOさんからいただいたオリジナル箔表紙サンプルのことを思い出します。

文庫本の場合は「わたしの小説セット」というメニューのオプションで「オリジナル箔表紙」メニューが使用できるとのことでした(通常の文庫本セットに+3000〜円で全面箔が使えるなんて!と驚きました)
また、ちょうど「おためしプリント」が行われていたので、イメージに近そうな紙いくつかで印刷してみました。

試してみた紙・印刷
・オリジナル箔表紙セット 用紙:アートポスト180K 箔色:金
・オリジナル箔表紙セット 用紙:色上質最厚口黒 箔色:レインボー
・オリジナル箔表紙セット 用紙:色上質最厚口黒 箔色:銀

箔となると前回のデータだと細すぎるので、少し線を太くした状態で入稿。

おためしプリントが届く

レターパックで送られてきました。トンボもそのままなので、断ち切り前の表紙を見られるのが面白かったです。

用紙:アートポスト180K 箔色:金

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用紙:色上質最厚口黒 箔色:レインボー

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用紙:色上質最厚口黒 箔色:銀

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オリジナル箔はどれもきれい!なのですが、星が出てくるお話なので少し暗めの表紙がいいかな〜…と思いつつ、黒だと少し重ための内容に感じてしまうな…と思ったので、もう少しお話のイメージに近づけたいな…と考えました。

PICOさんのおためしプリントは比較的すぐ納品していただいたのと、1枚につき1000円クーポン(上限3000円)が進呈されるので、おためしプリントで納得したら割引を活用できるところがおすすめです。

今回はイメージと合わない気がして断念しましたが、オリジナル箔プリントはとてもきれいだったので、今回のおためしプリントのサンプルを元に、また近いうちにチャレンジしたいと思っています!

もう一度イメージを考える

黒ほど暗くはなく、でも白では明るすぎる…と思って、間をとるとして考えたところ、紺色の紙が良いのでは?と思い至りました。
というわけで再度イメージをつくり、プリンパさんで、今度は金インク+銀インク刷りにしようと思いました。

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いよいよ本を入稿、印刷へ

紙はディープマットインディゴ、プリンパさんの常用紙だと220kgで厚いため、180kgの用紙を取り寄せていただきました。
この段階でだいたい1ヶ月程度かかっており、また以前ディープマットの別カラーで同じように印刷し本にしたこともあり、えいやで入稿。
本当はここでも試し刷りをしてもよかったな〜…と思いつつ、どきどきしながら入稿しました。

本文はブロスさん。ブロスさんには何度もお世話になってきたのですが、特に製本がきれいなところが大好きです。
なので、プリンパさんに表紙を依頼し、本文と製本をブロスさんにお願いすることにしました。(ブロスさんの他社印刷の表紙等の持込についてのページにはプリンパさんの表記がないので、事前に問い合わせを行い、OKをいただいてから入稿しています)

持ち込み表紙は、印刷部数×5%(但し最低でも40枚以上)の予備が必要です。
そのため、たとえば50部印刷する場合は最低でも90枚の表紙を印刷し持ち込む必要があります。

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また、この頃COMIC CITYに一般で行き、かわいい装丁の本をたくさん手に入れて、「宝物だ…」と感動したので、そのテンションで遊び紙をつくって金インク印刷をすることに。こちらもプリンパさんで印刷して、ブロスさんに挟み込みをお願いしました(別途挟み込みオプション費用が発生します)。
扉に刷った花が透ける感じになるといいな…と思いながら、製本されるのを待ちます。

最初に表紙データをつくってから、本文を入稿するまでで大体ちょうど1ヶ月程度かかっています。

無事に本になる

ということで出来上がった本がこちらです。

紆余曲折ありましたが、イメージしたどおりのものが本になって満足です。
ちゃんとトレペが透けてなかの扉が見えてる!

表紙の試し刷り印刷がある印刷所

今回利用したり、調べて見かけた印刷所をご紹介します(順不同)

プリンパさん
試し刷り・色校正サービス
https://www.prinpa.net/print/test_print

PICOさん
おためしプリント(本日付けでは5/31までとのことです)
https://www.pico-net.com/doujinshi/otameshi/

プリントオンさん
試し刷り印刷(表紙)
https://www.print-on.jp/doujin/company/test/hyoshi-paper.htm

オレンジ工房さん
試し刷り・サンプル請求
https://www.orangekoubou.com/booklet/sample_request.php

サンライズさん
オンデマンド試し刷りサービス
https://www.sunrise-os.com/menu_print.html

日光企画さん
オンデマンドフルカラー表紙 試験印刷
http://www.nikko-pc.com/onde/tamesi/onde-tamesi.html

ほかにも以前ホープツーワンさんで試し刷りをお願いしたことがあります。
印刷所の状況によって変わってくると思うので、気になる印刷所があればお問い合わせをしてみるのがよいのかな、と思います。

なかなか同人誌をつくる腰も重たい今ですが、予算と締切をゆったりとって本をつくってみるのも楽しいな〜と思い記事にまとめてみました。
また同人誌をつくったら思ったことを記事に書いてみようかな〜なんて思っています。

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