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お話をもとに本のデザイン・装丁を考えさせてもらった話

本記事はBL、成人向けの同人誌について記載しております。本の中身については一切触れませんが、ご理解いただきますようお願いします。

好きなお話を書く友人にタイトルのようなことを提案した結果「いいよ!」と快諾していただき、楽しい体験ができたので一部始終を記録します。

今回の経緯
友人がはじめてのジャンルの本をつくる、また同ジャンルなので、せっかくなので背中を押すがてら「仕様・装丁すべて考えさせてもらってもいいですか!?」とお願いしてみました。本記事ははじめの打ち合わせから、無事発行されるまでの話です。

提案をした友人

突拍子もない提案に乗り気になってくれたのは、友人のameri.さん。(Twitter:@r1_am3)前ジャンルからの友人であり、普段から遊びに行ったり一緒に観劇したり仲良くしていただいている相手です。なので、書くお話の内容やデザインのテイストはある程度わかっている、という状態でのスタートでした。

進行については以下のような形でお願いしました。

・まず、ある程度お話が見えるところまで書いていただき、読ませてもらう
・お話の内容をもとにデザインと仕様を提案する
・仕様に合わせて締め切りが決まるので、その辺りは要相談

この流れでOKとのことだったので、まずはお話が出来上がるまでワクワクしながら待つことに。

お話からイメージを組み立てる

というわけで見せていただいたお話がこちら。
メインのふたりが両片想いで、想い合っているはずなのに素直に気持ちを重ね合わせられなくてもだもだするような内容です。ラストにはちょっと光が差す夜明けのような、でもとってもキュンとするお話でした!

私:「道中の夜明け前っぽいイメージ」と「ラストシーンの光が差す感じのイメージ」だとどっちのほうが近い?
ameri.さん:「悩ましいけど…どっちかというと前者かな?」

お話が終始受け視点で進むこと、また受けのキャラクターのビジュアルが夜〜夜明け前のイメージなので、そこに合わせてほしいとのオーダーをいただきました。デザインや印刷所の希望、予算なども伺ったのですが「せっかくの機会なのですべてまかせる!何にも気にせず好きにつくってください!」とのことだったので、ありがたく楽しく考えさせていただくことに。

デザインを提案

初稿はこちら。まず最初に表1のみつくって反応を見たところ「好き!」と返ってきたのでほっとしました…よかった。夜っぽいテクスチャに、斜線で流れる星をイメージしています。

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また、紙はホープツーワンさんとくりえい社さんで取り扱いのある、2.5DホログラムペーパーのT2を提案してみました。偏光するシルバーの紙です。以下は紙についてのスクリーンショットです。(引用:キラキラ輝く魔法の用紙!大好評の2.5Dホログラムペーパー!

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なので、白くなっている部分は実際にはシルバーメタリックになる想定です。全面ベタよりもシルバーを活かせたらな〜と思ってこんな感じのデザインにしてみました。

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表4を合わせるとこんな感じ。R18マークのデザインを調整し、タイトルをもう少し印象づけたいな〜と思ったので、夜のテクスチャのなかにもタイトルを大きく配置してみました。
タイトルの改行位置も修正しています。タイトルの箇所を溶け文字にして、ちょっと涙で滲んだような雰囲気にしているところがお気に入りです。

こちらが効果なしバージョン。

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こちらが効果ありバージョン。レベル補正は少し抑えめにしています。

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溶け文字の作り方についてはこちら。

仕様と締切を計算した結果、A案(締め切りが早いけれどそのぶんのせられる装丁は多い)とB案(締切が遅くなるけれどそのぶん仕様を削る)を提案して「いけるか不安だけど…A案でがんばって、みます…!」というお返事をいただいたので、あとはameri.さんの進捗におまかせすることに。

出来上がった本はこちら

メタリックシルバーと濃い藍色が印象的な本になりました。どんな発色になるかな…?とドキドキしていたのですが、すごくきれいでうれしい…

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正面から見た様子はこちら。

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背表紙もきれい。ホログラムペーパーは偏光する紙なので、傾け方でかなり表情が変わります。

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そして、遊び紙はトレーシングペーパーにデザインを印刷したアート遊び紙を使用しました。表紙が「夜明け前」はイメージだったのですがどこかに「夜が明ける」イメージがほしいなと思い、この遊び紙を提案してみました。一冊の本で夜明け前・夜明けの印象をもたせられるところはこだわりポイントです。
この遊び紙の名前は「泡沫の宴」というもので、実はお話のなかの攻めの内面がわかるイベントストーリーが「泡沫の夜の〜」というタイトルなので、そこにも沿わせてみています。笑

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実はこの遊び紙を挟み込むプランが締め切りが早くなってしまうA案なのでした。私が提案した仕様にするためにはちょっと早い締切になってしまう…と戸惑っていたのですが、どうにか間に合わせてくださったameri.さんありがとうございました…!

最後に仕様を書いておくと、印刷はホープツーワンさんで、仕様は表紙が2.5DホログラムペーパーT2にマットPP、アート遊び紙「泡沫の宴」挟み込み、本文用紙は書籍用紙72.5kgです。

快く受け入れていただいたおかげで、とっても楽しく貴重な体験をさせていただきました。自分の本だと恥ずかしくてなかなか大きくタイトルを配置できないので、その点もすごく楽しかったです。。笑

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