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4000字くらいのお話でミニ本・豆本をつくった話

本記事は二次創作を扱う同人誌について記載しております。

Webオンリーで小説を展示をしよう!と思ったのですが、せっかくなら…と思い本をつくってみることにしました。
展示するお話は4000字程度のSS。A5や文庫の本にするにはちょっと短いような気がする…ペーパーにしても良いのですが、せっかくのイベントならなにか面白いことがしたいな〜と思って色々調べていたところ、たどり着いたのが「ミニ本・豆本」でした。

今回つくった本
B8小説本/24P、表紙CMYKカラー、本文モノクロというシンプルな仕様。
本記事はこの仕様で本をつくろうと決めてから、どうやってつくったかまでの話です。小説の同人誌をつくる前提です。

印刷所さんによってミニ本・豆本と表記が揺れるのでタイトルには並列して書いたのですが、この先は「ミニ本」表記で統一します。

ミニ本をつくることができる印刷所

今回はB8サイズ(64mm×91mm)の本がつくりたかったので、以下の2件で比較検討し今回はホープツーワンさんにお願いしました。
どちらも、A8/B8サイズを取り扱っています。
ホープツーワンさん(「豆本」印刷プラン
しまや出版さん(「ミニ本」印刷プラン

また、サイズが希望にあわず断念しましたが、プリントオンさんも52mm×68mmのサイズでつくれるようでした。
プリントオンさん「豆本」セット

それぞれの良いところ

調べてみて、ここが良いなと思ったところをそれぞれあげてみます。どちらも特徴があるプランだったので、ご希望に応じて選ぶとよさそうです。

ホープツーワンさん
◆表紙に特殊紙を使える
※アートポスト180kgのほか、オリジナルエンボスサンバ(シルク)と、オリジナルエンボスサンバ(クリスタル)が使えます。どちらもホープツーワンさんの独自用紙のようですが、シルクのほうは「エンボス布目」、クリスタルのほうは「エンボスアラレ」の質感によく似た紙です。ミニ本以外にも、安価でかわいい本をつくりたいときに重宝しています。
◆本文モノクロ時の用紙が多彩
※少しざらっとした薄い紙の「ナチュラル」ほか、コミックルンバ全色が追加料金なしで使えるところが好きです。
◆角丸加工ができる
しまや印刷さん
◆表紙に無料でクリアPPがついている
※これはすごくうれしいな〜と思いました。ほかにもマットPPや、ねこじたマットPPも使えます。余談ですが、ねこじたマットPPはほかのPPにない質感になっておすすめです。さらっとした肌触りがきもちいい、マイルドな紙やすりみたいな質感です。
◆表紙のセミオーダーができる
※ぱっと見ただけでもカラーで300件、1色刷りで200件以上の表紙のデザインが揃っているのでペイントソフトを持っていない方や表紙をつくるのが苦手な方でも重宝しそうです。しまや出版さんは小説本をつくる方にやさしいオプションやプランをたくさん用意しているイメージです。
◆ミニ本専用の本文用Wordファイルがある
※A5や小説テンプレートを用意している印刷所さんは多いですが、ミニ本をつくるためのWordテンプレートデータがうれしい。流し込むだけで本がつくれます。
◆箔押し・空押し、遊び紙追加、角丸加工と加工が豊富
◆最小ロット(10部16P)はこちらがお安め

これを前提に、今回の表紙データ・わたしの希望が以下です。

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・表紙はカラー、本文は小説なのでクリーム色の紙にしたい
・表紙のデータが濃い色かつオンデマンド印刷なので、PPを貼ると剥がれてしまうかもしれない
・PPを貼らないのであれば特殊な質感のある紙にしたい
・ページ数が20P程度と少なめなので、箔押し、角丸加工は不要。本文は厚めの紙にしたい

というわけで、ホープツーワンさんのほうが合いそうだったのでそうしました。小さい本でも箔押しができたり、デザインを気になるものから選べたり、なにより流し込んでそのまま入稿できるWordファイルがあるのがとても魅力的…!

しまや出版さんはWord形式でも入稿が楽にできる「Wordでカンタン入稿」というソフトを用意しているようなので、こちらも重宝しそうです。

本文データをつくる

表紙はできたのですが、わたしの作業環境はMacで、Wordとは相性が悪い…なぜか三点リーダーが横になってしまったり、好きなフォントを使おうとすると行間があきすぎてしまうようなことが多発するため、InDesignで組版しています。

InDesignでの組版は正直よくわからないながらやっている…という感じなのですが、一応どういう形で設定したかを書いておきます。ドキュメント設定と、レイアウトグリッド設定です。

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文字サイズは11Qなので、ptにすると7.8pt程度です。文庫本のときは文字サイズ12Q(8.5pt程度)にして行間は8Hなので、それより文字は小さく行間も詰め気味なレイアウトにしてみました。

データの確認

ふだんは印刷して確認するのですが、なかなかミニ本のサンプルがなくB8サイズの想像がつきづらかったので、比較対象を探したり、現物に近いサイズでプレビューする方法を考えてみました。

B8サイズは64mm×91mm。なので、名刺(55×91mm)よりも少し横幅が大きくなります。似たサイズを…と思って探したところ、手持ちのiPhoneSE2が幅67.3mmで近かったので、端末で見え方を確認しました。
iPhoneだとディスプレイの表示サイズは画面よりもひとまわり小さいので、大体同じくらいのサイズ感で確認ができるかと思います。

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暗く写り込んでしまったので一応、参考としてのスクリーンショットも置いておきます。

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また、雑貨屋さんで売っているミニメモなども大体同じくらいのサイズのようでした。以下は比較につかったメモ帳です。

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できあがり

きちんと本になりました!入稿から到着まで2週間程度でした。
まず表紙から見た状態。

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文庫本と比べたサイズ感。

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開いてみた状態。

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手のひらサイズの小さい本になりました。20Pなのでささやかですがちゃんと厚みもあります。A5の小説の文字組みだとおおよそ1万文字以上は必要なところ、5000文字以下でもちゃんと本になります。かわいいので、ノベルティにも最適ですし、140文字小説や短歌になども向いているサイズ感ではないかなと思います。

余談:本を発送する時の梱包について

少部数での発行なので、凝ったことがしたいなと思ってこんなふうな梱包にしてみました。

トレーシングペーパー素材の名刺サイズの封筒に入れて、麻紐で縛りました。封筒サイズは100mm×65mmだったのですがB8サイズ24Pだとちょっと厚みがありぎちぎちになってしまったので、もうひとまわり大きいサイズでもよかったなーと反省中です。

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そして海外の雑貨屋さんから仕入れたデザインペーパーを一緒に封入しています(封筒裏のチケット柄やレターっぽい紙がそれです)。一枚一枚柄が違うのですが、素朴な雰囲気が出せたらいいな〜という意図がありました。

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そして、オールドペーパー調の封筒に詰めて、シーリングワックス調のシールを貼りました。シーリングワックスは本当は本物でやってみたかったのですが己の不器用さだと火事になりそうだったので泣く泣くシールに…笑

本当はこの状態で発送したかったのですが、発送直前になって厚紙の封入なども必要になるな〜と感じたのと、発送方法がクリックポストで追跡できたほうが事務的に都合が良いと判断したのでこの封筒の上からさらに厚紙封筒にいれて発送しました。封筒のなかにさらに封筒がある状態にはなってしまったのですが笑、中身の話の舞台である『雲の街』という場所のイメージで梱包してみたので、お手にとってくださる方がそう感じてくださったらうれしいな〜なんて思っています。

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