人に勧めるものを、自分たちで使っていますか?

昔務めていた会社の同僚と時々会ってご飯にいくことがあり、その時に今の会社の現状の話などをします。その会社を辞めてからかれこれ4年ぐらい経ちますが、本質的にはあまり変わってなさそうだな、と話を聞くたびに思います。

その会社に勤めていた時にいつも疑問に思っていたことがあります。
それは、人に勧めてているものを、なぜ自分たちは使わないんだろうか?
という疑問。

その会社はシステム開発の会社で、私は主に民間企業向けに販売管理システムの開発などを行っていました。パートナー企業から販売管理パッケージを購入し、それを顧客の業務に合わせてカスタマイズして提供します。
顧客に対してはそれなりに高額な販売管理のパッケージを提供していましたが、自社の販売管理のシステムはというと、それはもうひどいもので、何十年前から使っているんだ?というくらい古いPCでスタンドアローンで動作するような、古いシステムを使っていました。

1台でしか動かせないので、伝票処理が多くなる月末になると順番待ちが頻繁に発生していたし、バックアップを取っているのかすら怪しく、動かなくなったらどうするんだ?という状況がずっと続いていました。
私が辞める少し前に、ようやく自社の販売管理システムも顧客に提供しているパッケージと同じものを導入することに決まりましたが、今頃かよ、と思ったのが正直なところ。

おそらくは、自社の社員が使うソフトウェアにコストを掛けたくない、という経営層の考えのもと、ずっと古いものを使っていたんだとは思いますが、顧客には最新のものを勧めるわりに、自分たちは古いものしか使っていないというスタンスは、顧客に対して失礼な気がするし、勧められてもあまり説得力がないな、と思ってしまいました。
そして社員が新しいものに触れる機会が少なく、社員の成長にもつながりにくいです。

そんな感じの価値観を持った会社でしたが、同僚と話していると、その根底の部分は今でも変わっていないようです。

最近はシステムを導入する場合でも、自社でサーバーは持たずに、クラウドサービスを利用することが当たり前になってきました。
そういう流れもあり、顧客からクラウドによる導入も求められることがあるようです。
そして顧客に対してはクラウドサービスを色々と導入してもらっているようなのですが、自分たちの会社では、セキュリティのことを気にしてクラウドに移行することを渋っているらしい。

いや、自分たちが使うことを渋るような仕組みを顧客に勧めるなよ。
顧客に勧めるなら自分たちも使えよ。
使わない明確な理由を論理的に説明できるぐらいには勉強しようよ。

ツッコミどころ満載です。
もちろん、社員の全員がそういう価値観を持っているわけではなくて、一部の経営層がそう思っているだけなんですが、上層部がそういう価値観を持つ会社にずっと所属することに希望は感じにくいのが正直なところ。

今務めている会社は、経営者が最新の技術動向にも積極的に目を向けていて、提案すれば新しい技術やツールを積極的に取り入れたり肯定してくれるので、とても働きやすいなと思います。

話は変わりますが、子育てをするとき、親が子供に対して「勉強しなさい」と口うるさく言ってもあまり効果はないという話をよく耳にします。
今私には子供はいないので分からないけれど、親自身が日頃から勉強をしていないんだとしたら、そりゃ子供に勉強しなさいと言ってもあまり効果はないだろうと思います。
それよりも、親自身が毎日楽しそうに勉強をしていれば、口うるさく言わなくても自分から勉強をする人の割合は増えていくんじゃないかと思います。

人に勧めているものを、自分たちは使っている?
人に注意していることを、自分たちは出来ている?
果たして自分自身、それができているのか分からないけれど、改めて見つめなおしたい。

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