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連ドラ見ないマンNetflix『GIRI/HAJI』(2019)を最後まで見る。の巻

1話だけ見て何かを言いたくなったんですけど、そういうことは最後まで見てから言え。って俺の中の真面目な俺が囁いたんです。
あと「漫画も完結しないと読めないんだよねー俺」って日頃言ってるんですけど、ってことは8話で完結してるこれを見ない理由ないよね? って気付いたのね。しかしながら、ここでお詫び申し上げねばならないのは、2時間で完結する映画パッケージに慣れすぎているせいで、総計8時間を丁寧に見たとはとても言えないってことです。じゃあどう見たのか。そんなことは……言えるけど言わないわよ、おバカさん。(ロドニーの口調で)

さて。Netflixオリジナルドラマ『GIRI/HAJI』(2019)。

最初に目についたのは主演、平岳大のインタビューでした。(2020/1/12、文春オンライン)

あ、共演者の窪塚洋介が半年前に喋ってたやつか。(2019/6/26、ほぼ日刊イトイ新聞)

ここまでが事前知識としてあって、第1話を見まして。

もちろんアゲアシをとりながら見るのもエンターテイメントの楽しみ方のひとつなので、そうねえ、たとえば「警察」に限っても
・原作者そもそも警察庁と警視庁の理解が混ざってるよね
・日本の警察オフィスがあまりに綺麗で、通常の俺たちの世界では「大手広告代理店」のイメージのやつ
・7話に出てくる警官、あれはおまえハリウッドだろ
とか、いろいろあるんですけどね、まあその辺は些末な問題で。

UKのオンライン媒体BRADFORD ZONEというところが原作者、プロデューサー、監督、出演俳優などにインタビューしていて興味深く読んだので、以下紹介します。

インタビュワーが、この作品ではいわゆる文化の違いによるあつれきを描きませんよね? ってすぐ聞く人みたいで(なぜだ)複数回、同じような質問を投げかけて、それぞれから次のような主旨の答えが返ってきています(以下は逐語訳ではありません。前後の回答も混ぜてるので原意を正確に知る必要あるなら元記事まで戻って!)

「洋の東西に関係なく、人として描写することを心掛けた」(P)
「なにしろ日本のキャストが素晴らしかったから。生きて、息をしてる人間を彼らが作り上げてくれたおかげでもある」(監督)
「文化の違いから生じた衝突っていってもそうね、私の部屋のセットに入る時にあの人たちが靴を脱がなくていいのか、ってそわそわしてたとか、せいぜいそんなぐらいじゃない?」(主演女優ケリー・マクドナルド)

たしかにいわゆるクロスカルチャー作品では伝統的におまえたちはそうでもなあ俺たちは……な比較論がありがちですが、本作でその類のセリフが際立つことはありません。
まさしく、たまたま英国と日本が舞台になった「だけ」。
だから平岳大も窪塚洋介も奥山葵もふつうに英語で話の流れに乗っていくし、作品において重要な役割を果たすウィル・シャープasロドニーは日英のミックス。
この、国境によって断絶があるわけではない、シームレスな世界観は見ていて気持ちの良い、「“今”の作品」と思えるものでした。

一方で、英語の発想が先にあっただろそれ。という日本語セリフも散見され、そういうのって日本人スタッフは口を出せないものなのかね。と不思議に思っていたのですが、平岳大と本木雅弘のインタビューを読むと、なるほど彼らなりにがんばった結果がこういう形になったのか、と理解。

Q. 日本語のセリフはうまく翻訳されていましたか?
平 「そこが実はチャレンジングなところで。事前に十分調整したはずのセリフでもいざ現場でわれわれが喋ると、どこか違和感があったりですね。原作者と監督を交えて何度も議論しました」

Q. 撮影で苦労したのはどんなところでしたか。
本木「もともと英語のセリフを翻訳した日本語のセリフが私のパートの大半で、だから日本語として舌足らずだったり説明的すぎるところもありました。文字数の都合とかもあるし。そもそも自分の役柄はヤクザの親分なんですけど、ヤクザの親分にしては喋りすぎじゃない? って思ってたし笑」

総論としては、ネットフリックスという巨大新興企業のおかげで日本にも良い役者がいるよ、って証明できてよかったです、かな(平岳大の、腹の底から出る声の説得力よ)。

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