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移民国家としての日本

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マガジン名称を「海外事業を編集する」から変更。 ヘッダ写真はダナン@ベトナム
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記事一覧

国の外から見ていた/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.8-24.9.14)

久しぶりの海外出張ウィークでしたが、めぼしいニュースがなかった気がするんですよね、いつもなら「今週のその他ニュース」として採り上げるような話が目について、強いていえば道新の これがいちばん力が入ってるな、と思ったぐらいですか。 ■と思ったけど今週注目すべきはこれでしたわ。 あのですね、これは叩けば叩くほどもくもく煙が出てくるやつなので、注目していきたいのです。

ヘイトde小銭稼ぎの流れを振り返る/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.9.1-24.9.7)

今週のクルドヘイト。みたいなコーナーを作れるほどにかまびすしい界隈ですが、さかのぼると2021年、仮放免の許可が出ない。という記事を紹介していて、ここがクルドという単語の本連載における初出でした。 2022年、そんな彼らに難民認定1号が。という報道があり、ドキュメンタリー映画『東京クルド』(2021)、フィクション映画『マイスモールランド』(2022)が公開されて、当時の日本社会の受容が少しだけ実態に追い付いたのが2年前ですかね。 今の「クルドヘイトで金稼ぎ」連中が涌いて

小声で大それたことを言う法務省/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.25-24.8.31)

概算要求が出てくる季節、法務省が何か言っているようなのですが みんなマイナンバーカードのことが嫌いだから(キメツケ)この見出しになるのも仕方ないですが、元ネタにはもっとエラいことが書かれており これ、本当にこの路線で進むんですか。外務省、厚労省、法務省の綱引きで生じている無駄はたしかに一元化されるべきですが、よりによって入管庁がそこを担うのは最も無い選択肢、と過去5年にわたり毎週のように彼らの人権意識の欠落を指摘せざるをえないニュースを紹介してきた当欄筆者として、思います

"The flames fanned by keyboard warriors like you."/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.18-24.8.24)

今週は京都というか兵庫というかローカルスポーツの話が盛り上がってましたね(すっとぼけ)。 校歌は教育機関としての歴史を反映していいと思う派の私、たとえば韓国映画の日本語字幕でわざわざ東海って書かれると、おい、Macy'sを「百貨店」って訳出するならそこも「日本海」でええやろ。とは思うので、なんかケチを付けたくなるひとの気持ちがまったく分からない、ということもありません。 ただ、映画の台詞が映画制作者の自由なのと同様、学校法人の方針が気に食わなければそのオキモチを素直に表明す

政治家が口にする共生とは何か問題/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.11-24.8.17)

先週、9月1日が近づいてきますが。みたいなことを書いたら案の定 事実を歪曲する各位が自発的に目が覚めることはないわけで、まあ地道に潰していくしかないよね(知ってた)。 去年は100年という節目でもあり、虐殺なんてなかったんや。って正気で言ってるんですか記事がけっこうなボリュームで出ていましたが、今年も倦むことなく拾っていければと思います(下記は昨年の記事3つ)。 ■今週のクルドヘイト 後者、そういう記事ではないにもかかわらず、こんな一節があるんですよ。 言わんこっちゃ

9月1日が近づいてきますが、さて。/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.8.4-24.8.10)

木曜17時の日向灘地震には諸事情あってまったく気付けなかった都民ですが、さすがに翌金曜20時の神奈川西部震源の揺れにはまあまあ驚き、急いで震源地近辺の海外人材たちへ安否確認の連絡を入れました。 だいたいが朝早いインドネシア出身者が多いので、そんなこともあろうかとは思いましたが「寝ていて気付きませんでした」という豪傑含め、全員無事でなにより。 大原則として日本語で指示を出すことにしていますが、緊急時は母国語で連携しないとなあ。 ■今週ようやく終結が見えてきたイングランドのア

安価な労働力を求めて/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.28-24.8.3)

ローカルニュースに興味深いトピックがありました。 中国から人が来ていた時代、南米の日系○世に頼っていた時代を経て、数年前までの主流だったベトナムからの技能実習生。も既にピークを過ぎ、いまはインドネシアが海外からの労働力供給源として大いに重宝されているわけですが、当然、彼らもそのうち来なくなる。 次はミャンマーですか、ネパールですか、いいやインドだ。いやいやいっそアフリカだ。……という発想そのものは自然なんですけど、そうやって地の果てまで「安い労働力」を求めるのは結構ですが、

デマをデマと指摘する労力/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.21-24.7.27)

今週は夏枯れで粒の小さなニュースが多く、そんななかではヘイト醸成プラットフォームとして延命を図る某サイトの記事が目立つぐらいでしたが、あまりにくだらないのでリンク貼りたくないんですよ。でも貼っておかないと後日、何の話だか分からなくなるじゃない? ……という注釈付きで載せるんですが、PVに貢献したくもないのでリンク先は当該記事魚拓サイト。 当該市議の既往歴は調べれば出ることなので割愛しますが「年金制度における外国人への脱退一時金の是正を求める意見書」というタイトルで ・京都府

日高インド人口増。という競馬ファンにはいまさらニュースのまとめ/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.14-24.7.20)

日本に暮らす外国籍のひとたちの労働環境。を伝えるニュースを毎週集めて5年になる本連載ですが、競馬ファン歴はそろそろ40年なので、今週の某サイト某記事 これがいまさら「へー」って言われていることに逆に驚き、なぜなら。という話を書いておきますね。 ■ネット競馬媒体における初出はおそらく2018年1月 同コラム翌2019年11月 わりと早い時期に毎日新聞がこの周辺記事を挙げていたことは注目されていいです(2019年6月) ■競馬専門業界の外で報道されるようになるのは202

unmotivated/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.7.7-24.7.13)

ほぼ5年近く毎週更新していますが、たいてい「これはヒドい」ニュースへの怒りに突き動かされて書き始めるのに今週はそういうモチベーションになるような核がなく……。 といってもヒどいニュースはもちろんあって、たとえばこれとか。 あるいはこれとか。 しかし、どっちも似た話を初めて聞いた過去ほどの衝撃はないんですよね。つまり5年かけて海外のひとたちの置かれている環境が、ようやく自分のなかで一周した、ってことなんですかね。 ■その他ニュースもまあまあ地味 ■や、先週の都知事選が

Go Vote/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.6.30-24.7.6)

東京都民として今日の選挙結果にガックリしたくねーなー。と強く思う朝ですけれど(期日前投票派)US大統領選を思えばまだ民主主義は死んでいないと感じられるのでは、という意見が目に入って一瞬そうね。と頷いたものの、いやーやっぱりなーそうは言ってもなー。 ■デタラメな法案が通過した後のわれわれ ■デタラメ司法というべきなのか、何なのか もとはというと 一目瞭然でヒドい話があって、あれは従業員が勝手にやったことだから組織に責任はないんで。って厚顔無恥な抗議を是とした地裁の判決が

もう低度外国人材とは言わせない/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.6.23-24.6.29)

毎年の恒例行事ですが、US国務省「人身売買報告書」最新版が公開されました。日本は今年もTier2(上から2番目。ちなみに韓国はTier1、中国ロシア北朝鮮ミャンマーあたりがTier3。さらに「欄外」が4ヵ国;ハイチ、リビア、ソマリア、イエメン)。 ただね、過去noteを書いたときほどには盛り上がれない。 なぜならイスラエルは。 と確認したら本邦同様Tier2で、そらまあ世界ポジショントーク開陳中だからそうなろうけれども、見てしまうと無の表情以外、どんな顔になればいいんです

外国人の受け入れ環境整備云々/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.6.16-24.6.22)

今週ネットでプチバズった話。 あとこれ。 ちなみに弊社エラいひとたち複数から、どういう意味? と問い合わせが多かった記事はこれ。 JICAが日本で働く海外人材の案件に絡んでくるの、事業領域としてちがうんじゃないの。という反応がもっぱらですが(わしもそう思う)ちょうどベトナムで技能実習制度を推していた政府関係者が失脚する流れなどもあり、労働者の人権問題という切り口からの提言が陽の目を浴びた形。 ……みたいな背景説明を長々としました。 ■個人的には 移住連の宣言に賛同し

haters gonna hate, hate, hate/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.6.9-24.6.15)

予定通り技能実習が廃止され、育成就労に改名する法案が成立しました。 労働力の確保を前面に打ち出した「特定技能」への移行を前提とする制度、そのタテツケに異存ないものの、生殺与奪の権力を入管が握る構造がむしろ強化された点が、とてもよくない。 ……という話を思えばこの5年、毎週書いている気がします。 ■今週のヘイト ・満場一致のヘイト ・他人の心にあるヘイトを煽ろうとする根性が透けて見える分、陋劣なやつ ・これは訓練されたヘイト心情が分かりやすく発露した話 ・声が上がらなけ