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錦糸町「ニット」 ー店前には食品サンプルと馬油が飾られているー

ニットのマダム吸引力。
店に近づくと、マダムが「ニット」に塗られた蜜を吸いにきているように表に溜まっている。会合かお稽古ごとの帰りだろうか。

縦長の食品サンプルケースの最下部には、ねずみ色のピラフが置かれている。

食品サンプルが飾られたショーケースを眺めるのも喫茶店探訪の醍醐味の一つで、食サンを見つけるとグッと高揚し、その店への敬意が高まる。

びしっと揃って綺麗な食品サンプルはもちろん素晴らしいが、できれば年季がはいっていてほしい。日光による変色が見て取れれば店の歴史を感じられるし、ランダムな置き方やサンプル以外にも色々置いちゃってるところは店主の素朴さの現れな気がする。

ニットのショーケースはニット特製と書かれているだけあってプリンアラモードがセンター。その両脇にプリン、パフェが控えて、全体にぎっしりとメニューが揃っているが、やはり目が行くのはねずみ色のピラフと色のうっすいスパゲティだ。

別のショーケースにはシャネルやクロエの香水から馬油のシャンプーなんかも売っちゃっている。

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活気あるお昼時。
壁に掛けられた、とても見やすい大きい文字のメニューを読解し出すと、かつては(牛)だったんだろうと予想できる「 (豚)焼肉定食」をたのんだ。

メディアに出ていると歌う貼り紙を見つけたのでママに聞いてみると
「テレビでもよく取り上げられるんですよ」「TBSのドラマでカトゥーンの上田くんがあそこに座ったでしょ。あとテレ東の再現ドラマで大路恵美・ほらひとつ屋根の下のちい兄ちゃんの妹役の子!あの人も・・・」

ロケ場所ってことですね。
それにしても ひとつ屋根の下、懐かしすぎる。


当の焼肉定食は、お肉のお味付けがワンパクすぎて白米が全然たりなかった。


帰り際に なぜ ニットというのか聞いてみた。
昔、繊維関係の仕事をしていたから、だそうな。そう話すママの表情から、彼女がニットを編んでいたあの頃を誇りに思っていることが伝わってきた。

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