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27 新たな探偵との打ち合わせ

相談員Kさんから紹介されて向かったニ軒目の探偵事務所の窓口は若いお兄さんだ。

一軒目の高層ビル街のオフィスと違って、間借りのレンタルオフィスのような会議机に簡単な椅子が置いてある五畳ほどの狭い部屋。

ここまでの経緯を話す間、手元のiPadで情報を入力しながら、お兄さんは耳を傾けてくれた。ひと通り話し終えたわたしにお兄さんは聞いてきた。

「離婚でいいんですね?」

やはりここでも。私の意思が離婚でなければ「証拠をとっても無駄金に終わる」からだ。相談員Kさんからも探偵の窓口のお兄さんからも聞かれたこの質問には誠意が感じられた。

「離婚です」

硬い決意を伝えたわたしに窓口のお兄さんは大きく頷き話し始めた。

iPadの中の人名こそ伏せられてはいるが、過去の事例として慰謝料請求のための書面、数々の証拠写真を見せてくれた。それらを提示しながら今後どのように動いていくかを説明してくれた。

あとニ〜三回、立ち寄りでもいいから証拠を掴むのが目標となった。

目から鱗だったのは、証拠がすべて揃ったらまずは「不倫相手に直接」会いに行き、合意書にサインされる、ということ。

夫に先に証拠を突きつけると不倫相手をかくまったり連絡が取れなくなることを防ぐためらしい。

直談判に怖気付く私に窓口のお兄さんはこう言いきった。

「あなたの話術なら絶対に大丈夫。何人もの方とお会いしてきていますが、あなたは理路整然と事の経緯をお話になれる。絶対に大丈夫ですよ」

プロからのお墨付きにわたしは思わず苦笑した。

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