日本の山を守りたい、で、鹿のお話④ 手当は早めの方がいい編
これまでの鹿のお話で、最近では、かなりの数の鹿が駆除されていることを書きました。
自然を大切にしたい、もちろん、野生生物も、と願う身としては、この事実には、本当に心が痛みますよね。
そして、思います。
鹿の食害で、植生が部分的に壊滅的な被害を受けた大台ヶ原のことを。
この地は、江戸時代といわず、明治頃までは、ブナやウラジロモミ、トウヒなどの大木に覆われた、うっそうとした秘境だったようです。
今では見る影もないのですが、柵で囲った場所にトウヒを植えたり、かなりの広範囲に高さのあるシカ柵を巡らしたりされています。
さらには、ワナなどで数を減らすことはできていても、すでに失われた植生はそう簡単に回復できません。
鹿に樹皮をかじられたことも原因?で弱った木々も、手間暇とお金をかけて被覆材を巻き付けてありますが、もう元には戻りません。
いったん大きな被害を受けた場所では、動物を駆除したとしても、植生の回復や保護には、かなりの時間がかかり、元に戻るかどうかもわかりません。
だから、結果論になってしまいますが、危険の兆候を感じたら、先を見越して早めに手を打つ勇気をもちたい、と、あまりにも変わり果てた姿の大台ヶ原が教えてくれているように感じました。