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主婦だって、家事が嫌いと言っていい。

 数年前、男性の友人に「ご飯作るのめんどくさい。」と言ったら「主婦のくせに?」と言われた。地味に傷ついた。男の人だって仕事めんどくさいって言うのにね。主婦は家事をめんどくさがってはいけないっていうね。そういう空気。

 私は掃除が大嫌いだし苦手だし下手くそだと思う。料理はもともと嫌いじゃなかったけど手が荒れて、それが治らないから嫌いになった。一番好きなのは洗濯だけど、「洗濯なんて洗濯機に入れてスイッチ押すだけじゃん」と突っ込まれるので悔しい思いをしている。洗剤だって柔軟剤だって入れる作業してますけど?干してますけど?畳まないけど。

 最近、私の家政婦ナギサさんていうドラマがマイブームだ。もともと多部ちゃんが好きだから見ようと決めたドラマだったけど、このドラマを見た後は心が軽くなる。掃除が苦手でも料理が嫌いでもいいじゃんって思わせてくれる。だってメイが魅力的だから。

 結婚する時、女は生活が変わるって思う。自分のペースだった生活が相手のペースになるんだって思う。子供ができたら子供のペースにもなる。覚悟するってほどのものじゃない。だって結婚てそういうものだから。少なくとも私はそう思ってきた。専業主婦をやってたおばあちゃんの影響が大きいと思う。

 私のおばあちゃんは料理が上手で掃除も上手。掃除が上手っていう言い方はあんまりしないかもしれないけど、そういう表現が的確だと思う。毎朝ハタキを持つところから始まって、雑巾掛けまで。おばあちゃんは多分、汚いのとか散らかってるのが嫌い。だから今も座椅子に座って手の届く範囲をコロコロコロコロコロコロコロコロやるし、机の上にはチラシで作った小さなゴミ入れを置いて、服の毛玉やお菓子のカスまでちまちまちまちまちまちまちまちまかき集めて入れている。老眼のくせに何でそんなに細かいゴミを見つけられるんだと観察したら、指を滑らせて引っかかったところをチネっていた。
 私はおばあちゃんの孫なのにどうしてこういうところが似なかったんだろう。この性格を受け継いでいたらうちはピカピカだったろうに。

 こんな家に住んでたもんだから、昔から片付けなさいとか掃除しなさいとか散々言われてきた。私の部屋はうちの中で一番汚かった。メイの部屋より余裕で汚い。のだめの部屋よりはマシだと思うけど。でも全然気にしてなかった。だって掃除って生きていくために必要じゃないと思ってたし。

 だけどいつか結婚するなら、できるようにならなきゃいけないって思うようになった。家を綺麗に保つのは女の仕事で、美味しい料理を作るのも女の仕事だって。

 おばあちゃんは毎日何品も料理を作る。台所のテーブルの上にはいつもたくさんのおかずが並んでいた。天ぷらの時、おばあちゃんは座らなかった。揚げたての天ぷらをおじいちゃんと私のお皿に入れてくれた。それが普通だと思っていた。だから私も結婚したらたくさん料理を作ってたくさんテーブルに並べてってやらないといけないって思ってた。おばあちゃんみたいに。

 最初は頑張った。でも疲れた。時間をかけて作った料理が一瞬にして飲み込まれていくのを見て虚しくなった。

 美味しそうに食べてくれればそれだけで作りがいがあるっていう人もいる。でも私はそういうタイプじゃない。どれだけ時間をかけたか、どれだけ手間がかかってるかちゃんとわかってほしい。この間ポテサラが話題になってたけど、「ポテサラぐらい」なんて言う人のためにご飯を作りたくない。でもそんなこと思っちゃいけない。家事は私の仕事なんだから。仕事って嫌でもやらなきゃいけないものだから。みんなそうしてるんだから。

って、本当にそうかな?
そこまで追い込まれなきゃいけないものかな?

 今、頑張って家事をやってる人たちに伝えたい。そんなに頑張らなくてもいいじゃん。ナギサさんみたいなサービス、使ったっていいじゃん。主婦だって何でも完璧にできるわけじゃないじゃん。プロに頼んだ方が綺麗になるし、美味しいじゃん。

 それから世の男性と、女の子を持つ親に伝えたい。あのドラマはフィクションだけどフィクションじゃない。女だから料理ができて当たり前って思わないでほしい。女だから部屋が綺麗で当たり前って思わないでほしい。女だから家のことはなんでもできるのが当たり前って思わないでほしい。女はそうあるために必死で努力してるってことをわかってほしい。それから、頑張ったってできないこともある。でもできないことがあるのは恥ずかしいことじゃない。

私も、家事代行サービス使ってみたいな。
「掃除のやり方教えてください」って言うのもアリかな?

今日の夕ご飯、何にしようかな。

おわり。

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