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2年「くりのみ」【親切、思いやり】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『2年「くりのみ」【親切、思いやり】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今日解説する『くりのみ』は、
ほとんどの教科書会社で取り扱われている定番教材です。
知っている人、実践された人、
研究授業でしっかりと研究した人もいることでしょう。

この記事で、新しい授業の切り口を知って、教材研究を深めてください。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

B 主として人との関わりに関すること
「親切、思いやり」
1・2年の目標・・・・身近にいる人に温かい心で接し、親切にすること。

2年生「くりのみ」(日本文教出版)

あらすじ

きつねとうさぎはそれぞれ、寒い冬に食べ物を探しに行っていた。

きつねは森の中でどんぐりをたくさん見つけた。
腹一杯食べて、さらに残りを落ち葉で隠した。

その帰り、再びうさぎに会って、きつねは「何にも見つかりませんでした。」と言いました。

うさぎは、「やっと2つ見つけたのです。1つ差し上げましょう。」と言って、くりのみを出しました。

きつねの目から、涙が落ちてきました。

2 内容項目と教材

『くりのみ』の内容項目は「親切、思いやり」です。
親切と思いやり、この2つの違いについては別な記事でお話ししていますので、
詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

簡単に言うと、親切は行為、思いやりは心です。
親切な行動、とは言いますが思いやりの行動とは言いません。
「思いやりのある」行動と言いますよね。
つまり思いやりは心です。

この内容項目は、どちらか重点を決めて授業をしましょう。
つまり、「親切」か「思いやり」か重点はどちらなのか、教材から考えるということです。

「親切、思いやり」の教材はその両方を追究するようにはなっていません。
どちらかに軸足が必ず置かれています。

それをどちらなのか、考えましょうということです。
『くりのみ』では、親切に重点が置かれています。
ここでは、親切を重点として話を進めて行きます。

かといって、「思いやり」に重点を置いて間違いと言うわけではありません。
根拠をもって授業者が重点を決めることが大切なのです。

『くりのみ』は、役割演技が授業ではよく用いられます。

教師はうさぎ、子どもはきつねになり、おおかみの気持ちを感じさせることがねらいです。
実際に動いて、気持ちを実感するという活動はとても大切です。
注意点としては、

「役割演技が動作化しないようにする」

これだけです。

役割演技は、役になりきることで、その気持ちを感じることがねらいです。
時にはアドリブもあるでしょう。
アドリブができるということは、その役になりきっているということなのです。

動作化は違います。ただ動きを真似るだけです。
話をなぞるだけで、ただ動作をつけて、当たり前の気持ちを確認するだけでは、道徳性を深める目的に向かっているとは言えません。
動作化にならないために、うさぎ役の教師も役になりきって発問することが大切です。

板書は、「関係整理型」がいいでしょう。

図のとおりです。

画像1

このように関係図を書くことで、見えてくるものがあります。

きつねはどうして涙を流したのか、それを生む心は何かを考えやすくなります。

教科書に書かれていない道徳的価値に気付くことができます。

それが、「多面的・多角的に見る」ということなのです。

また、2年生という発達段階から、言葉で表現するよりは、「どんな顔をしていると思う?」と表情を書くようにするといいでしょう。
表情で考えの根拠を作り、それを元に発表することで、子どもは考えを言いやすくなります。

この図では、全て表情を書いていますが,

どんな顔になると思いますか?
うさぎの周りで笑っている人は誰ですか。
きつねの周りで笑っている人は誰ですか。
他に笑顔はありますか?

などと問います。

なんだか子どもに聞いてみたくなってきませんか?
それが、道徳の面白さなのです。

『くりのみ』に限らず道徳では、発問によって教材を「多面的」に見ることができます。
そして、多面的な見方から見えた考えを友達と突き合わせることで、考えの幅が広がります。

その議論を重ねることで、内容項目の「親切、思いやり」を多角的に見ることができるのです。

さて、この授業をすると、どんな考えが出ると思いますか?
一例として書きますが、この通りになるとは限りません。

あくまで一例ですから、どんな授業がよいとか悪いとかではなく、先生と子どもで、唯一無二の授業を作ってください。
それが何より、尊いのです。

イメージをもってもらうために、
授業の流れの例をお話しします。
T:先生 C:子ども

T:きつねは悪いことをしているのでしょうか
C:うん,悪いこと。独り占めをしたから。
T:でも,自分のものを誰にもあげたくない。そう思うことは悪いことですか?
C:うーん・・・
T:悪いことか,いいことか,どちらでもないか,手を挙げましょう。
C:(悪いこと半分,いいことゼロ,どちらでもない半分)
T:いいことではないんですね。どちらでもないと言った人は?
C:私は,お気に入りのものを友達と分けたいとは思わず,自分で大切にしておきたい。
C:ぼくは,なんでもかんでも分けるのは違うと思う。
T:じゃあきつねはそれほど悪いことをしているわけではないんですね。
T:では,きつねのいいところはありますか?
C:涙を流したところ。
T:え,どうして?
C:うさぎの優しい心に気付けたから。
T:うさぎの心に気付けたんですね。
C:だからきつねも優しい。
T:きつねは優しい。そう思う人?
C:(手が半分ほど挙がる。)
T:何か言いたいことある人?
C:きつねは,最初は優しくないけど,後から優しくなった。
C:うさぎに優しさをもらった。
T:どういうこと?詳しく言える人?
C:優しさはあげられる。それに気付ける人も優しい。
T:なるほど。優しさはつながる、優しさに気付く優しさもあるんですね。


これは考える時間や脱線も省いていますので、こんな台本のようなすっきりしたやりとりにはなりませんが、大まかな流れはこの通りです。

たまたま、「優しさはつながる。優しさに気付く優しさもある。」という流れになりましたが、他にも親切、思いやりを多面的・多角的に見たまとめならよいでしょう。

大切なポイントは、「子どもの言葉を使う」ということです。

先生がかっこつけて、大人の言葉でまとめると子どもは興ざめです。

無理に大人の言葉に変換しなくてもいいです。

子どもの言葉は純粋さの塊です。

子どもの言葉を紡いで、授業を作り上げていきましょう。

3 導入

T:教師 C:子ども

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