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6年『天下の名城をよみがえらせる』【伝統と文化の尊重】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「天下の名城をよみがえらせる」【伝統と文化の尊重】の授業はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」
この内容項目は、なんとなくイメージがつきやすいですね。
以前の愛国心や郷土愛といった項目です。
国を愛する心、地域を愛する心、
先人がつくってきた伝統や文化を重んじる。

こう聞くと、簡単なようですが、
実際の授業では「自分事」として
どのように捉えさせるかが
大きな壁となります。
「遠くの地域の遠くの人は、
そんな思いをしているんだな。」と
浅い学びになってしまいがちなところが、
この「伝統と文化~」の内容項目の
大きな注意点です。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」
5・6年の目標・・・・我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、先人の努力を知り、国や郷土を愛する心をもつこと。

6年生「天下の名城をよみがえらせるー姫路城ー」(日本文教出版)

あらすじ

姫路城は平成の修理を終えて現在の姿になった。
実は平成の修理は、「昭和の大修理」以来45年ぶりのことだった。

昭和の大修理では、太平洋戦争で戦火はまぬがれたものの、雨漏りや瓦が落ちるなど、つぶれかけている状態だった。
そのうち、「姫路城を守ろう」という人々の声が高まった。

集まったのは地元の大工など100人。総責任者は加藤さん、大工のリーダーは、当時播州一の宮大工、和田さんだった。

工事が始まって問題が起きた大きな柱が腐っていたのだ。貴重な木なので、代わりの柱はなかなか見つからない。
やっと見つけた柱も折れてしまった。しかし、和田さんは諦めなかった。
2本の木を組み合わせて柱を作った。

加藤さんや和田さんの苦労もあって、1964年、姫路城は工事を終え、見事によみがえった。
今も、姫路市の人たちは、清掃活動などのボランティアに参加して、姫路城を大切にしている。

2 内容項目と教材

「伝統と文化の尊重」は簡単に見えて、苦手とする人は多いです。

社会の学習との境目はどこなのか。
遠く離れた場所、人のことなので、どうやって自分ごとにすればよいのか。
どこに主眼を置いて授業を展開していいのか。

これらが明確でないからです。

では、具体的に授業展開について考えてみましょう。

この教材は姫路城が題材になっています。
では聞きます。

姫路城に関わっている人は誰ですか?
「姫路城の工事」ではなく、「姫路城」に関わっている人です。

次の人たちが考えられます。

総責任者の加藤さん
リーダーの和田さん
和田さんの妻、ハツエさん
「姫路城を守ろう」と言った姫路市の人たち
姫路城でボランティアをする人たち

これらの人たちが出てきます。

しかし、本当にこれだけでしょうか?

教材に書かれていない、「姫路城に関わっている人」はいないでしょうか?

姫路城を建てた人
「しらさぎ城」と名付けた人
工事に関わった人

この教材を読んでいる6年生
「姫路城」を知っている人

ここに書いた人たちに共通することは、「姫路城のことを考えている」ということです。

姫路城について思いを馳せることは誰にでもできます。
遠く離れた場所にいても、時代がちがっても、こうやって姫路城について考えることができます。

それが、「国や郷土を愛する心」なのです。

『郷土』というと、なんとなく地元を想像してしまいますが、自分のいる都道府県やブロック、広い意味では西日本や東日本、そして日本という国も郷土です。

つまり、姫路城に対する思いは、和田さんも6年生も、同じ方向を向いていると言えます。

では、ここからもっと深く考えます。

和田さんや加藤さんといった工事に携わった人と、現在姫路市に住んでいる人たちの、『姫路城に対する思い』で同じものはあるでしょうか。
また、ちがうものはあるでしょうか。

和田さんと6年生ではどうでしょうか。
6年生と当時の姫路市民ではどうでしょうか。

子どもたちと考えたいところですね。

姫路城を大切にしたいという思いは同じですが、それを行動に移す人と見守るだけの人とでは何か心にちがいがありそうです。

答えはあえて書きません。
子どもと一緒に考えてほしいと思います。

ヒントとして次の言葉を紹介します。

今話題のNiziUのプロデューサー、J.Y.PARKさんは、オーディションやプロデュースをする上で大切にしていることがあるそうです。

「その人に対して、関心と愛をもつ」

シンプルですが、本質的ですね。

また、最近テレビでよく流れている「アイフル」のCMでは、大地真央さんがこんなセリフを言っています。

「そこに愛はあるんか。」

今回の教材と全く関係ないように聞こえますが、実は大きく関わっています。

このことに気づくと、「友情、信頼」も「親切、思いやり」も「家族愛」も、本質的には同じことだと気づけるでしょう。

それが、文部科学省が大切な活動だと言っている『内容項目同士のつながりを考える』ことにもつながるのです。

さらに、この姫路城の話から、自分たちのことにつなげるには、目線を下げる必要があります。

「地元には姫路城のような立派なものはない。」と考えると、もう考えは止まってしまいます。

そんな立派なものでなくても構いません。

地域に伝わる、現在も続いているものならなんでもいいから考えて見る必要があります。

地域の祭り、子ども会、○○祭り、行事、学校の伝統などもそうです。

それらは、先人たちが毎年一生懸命取り組んできたから、現在も続いているのです。
では、なぜ先人たちは一生懸命取り組んでいたのでしょうか。
その思いを考えるためのヒントが、和田さんたちから得られそうですよね。

3 導入

T:教師 C:子ども

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