見出し画像

3年「あいさつ名人」【礼儀】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『3年「あいさつ名人」【礼儀】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今日の話題は礼儀。

学年の初めの方の教材なので、道徳だけでなく生徒指導・学級経営にも派生する内容となるでしょう。

礼儀、特にあいさつについて、今日は考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

B 主として人との関わりに関すること
「礼儀」
3・4年の目標・・・・礼儀の大切さを知り、誰に対しても真心を持って接すること。

3年生「あいさつ名人」(光村図書)

あらすじ

ぼくは「あいさつ名人」と呼ばれている。
同じクラスのせいやくんは、「とおるくんはいいな。大きな声であいさつができて。ぼくはあいさつが苦手。」と言う。

ある日、学校へ行く途中におばあちゃんに会った。
ぼくは大きな声で「おはようございます」と言った。
せいやくんは「足、だいじょうぶですか。」と言った。

ぼくはおばあちゃんの顔しか見ていなかった。
ぼくは、せいやくんこそ、本当の「あいさつ名人」だと思った。

2 内容項目と教材

あいさつってなんのためにするのでしょうか?

学校ではよく、「あいさつをしましょう」と指導をしますよね。
では、「あいさつはどうしてしないといけないの?」と子どもに聞かれたら、なんと答えますか?

人によって答えはまちまちでしょう。
あいさつの重要性は、これまでの経験によって様々な角度からインプットされるからです。

・運動部に所属していて、必ずあいさつを先輩や監督にするように言われていたので、呼吸をするように当たり前に大きな声であいさつをする。「当たり前だからする。」
・昔、あいさつをしなくて友達と気まずい関係になってしまったことがある。だから、「関係を悪くしないために、必要だからする。」
・家族の間なら昔から「おはよう」「いってきます」などのあいさつはしなかった。だからあいさつはそれほど重要だとは思っていない。だけど、「大人としてしなければならないから、しょうがなくする。」

どうでしょう。
あいさつ一つだけ見ても、これまでの経験が大きくものを言いますよね。

何が言いたいかと言うと、「あいさつはどうしてしないといけないの?」と聞かれたときの、明確な答えはない、ということです。

先生の経験から、「大切だ」と思うことを言えば、それが説得力のある言葉になるし、熱のある話になるのです。

では、これを踏まえて教材を考えます。

ぼく(とおる)と、せいやくん、どっちがあいさつ名人だと思いますか?

と聞かれると、子どもによって考えが分かれますよね。

これだけでも面白い議論にはなりそうですが、より議論の幅を広げるために、また気付きを増やすために、あえて選択肢を増やして考えの幅を広げる手立てを打ちましょう。

ぼくは、大きな声のあいさつが特長です。
せいやくんは、相手を気づかえることが特長です。

では、

①小さな声で、相手のことを気にしないあいさつ。
②小さな声で、相手のことを気にするあいさつ。(せいや)
③大きな声で、相手のことを気にしないあいさつ。(ぼく)
④大きな声で、相手のことを気にするあいさつ。(ぼく+せいや)

この4択で考えみると、さらに考えの幅が広がります。

①〜④のうち、「あいさつ名人」はどれだろう?と聞いてみます。

当然、①は外れるでしょうが、なぜ外れるのでしょうか?
また、『①は絶対違うから外していいか』と思うでしょうが、①があることが大切です。

常に、比較対象があることで、思考の足がかりができるので、考えが進みやすくなるからです。

子どもに聞いてみたいですね。

④がよさそうに感じますが、果たしてそうでしょうか?

例えば、次の場合はどうでしょうか。

・市立図書館に本を返しに行ったら、友達が本を探しているところを見つけたので、遠くから大きな声で「おーい! なんの本を探しているの?いっしょに探そうか?」と声をかけた。

これは、④に当てはまりますよね。
でも、「あいさつ名人」と言えるでしょうか?

また、次の場合はどうでしょうか。

・今日は朝からお母さんにほめられてとても気分がいい。昨日のテストの点数がよかったからだ。登校中、友達に会った。「おはよう!昨日のテスト、頑張ってお母さんにほめられたよ。うれしいなあ! ○○さんはどうだった?」と声をかけた。そこで初めて、暗い顔をして落ち込んでいる様子であることに気がついた。どうやら、昨日のテストの点数が悪くて、お家の人に怒られたそうだ。

この場合も④に近いですが、果たしていいあいさつをしている「あいさつ名人」と言えるでしょうか?

さらに重ねましょう。

・いつも行く床屋さんのおじさんは、いつも怒ったような顔をしている。髪を切りに部屋に入っても、「どうぞ。」しか言わない。でも、どんな髪型がいいかいつも聞いてから切り始めるし、シャンプーは丁寧にしてくれてとても気持ちがいい。最後に、子どもの体の強さに合わせてマッサージをしてくれるので、とても気持ちがいい。

このおじさんは、「あいさつ名人」でしょうか?

あいさつはほとんどしていませんが、②のせいやに近いのではないでしょうか?

なんだか、こうなると「本当のあいさつ」ってなに?

と疑問が出てきますね。

「あいさつ名人」に全員がなる必要はありませんが、「あいさつ名人」とは、と考えることで、いいあいさつについて考えたいですね。

子どもと議論することを大切にしたいので、ポイントは5のまとめに書くだけにします。

ぜひ、子どもたちと「あいさつ」について考えましょう。

「あいさつ」は不思議なもので、大人も子どもも関係ありません。

いいあいさつの定義を、実は子どもは知っていて、実践しているかもしれません。

元気なあいさつは、大人はあまりしなくなりますが、それが正解かどうかもわかりません。

意外と、あいさつという観点では、子どもはシビアに大人を見ていますよ。

もう1つ、考えたいポイントは、「ぼく」がせいやくんのいいあいさつに気付いているところです。

「ぼく」は、自分の大きな声のあいさつだけが「いい」と思っていたら、せいやくんのよさに気付くことはなかったでしょう。

せいやくんがおばあちゃんの変化に気付いたように、「ぼく」もせいやくんのあいさつの「ちがい」に気付いたのです。

これも、実はあいさつに大切なポイントです。

3 導入

T:教師 C:子ども

ここから先は

2,067字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?