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4年『ねがいをつみ上げた石橋』【国や郷土を愛する態度】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『4年「ねがいをつみ上げた石橋」【国や郷土を愛する態度】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」
この内容項目はなんとなくイメージがつきやすいですね。
以前の愛国心や郷土愛といった項目です。

国を愛する心、地域を愛する心、
先人がつくってきた伝統や文化を重んじる。

こう聞くと簡単なようですが、
実際の授業では「自分事」として
どのように捉えさせるかが
大きな壁となります。
「すごいな。自分とは関係ないけど。」
と浅い学びになってしまいがちなところが
この「伝統と文化~」の内容項目の
大きな注意点なのです。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」
3・4年の目標・・・・
我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、国や郷土を愛する心をもつこと。

4年生「ねがいをつみ上げた石橋」(光文書院)

あらすじ
あつしさんの住む街、大分県宇佐市院内町には石橋がたくさんある。
あつしさんはお父さんと石橋ステーション(石橋の歴史館)に行って石橋のことについて調べた。
・石橋に使う石は約180㌕。
・最後にとめ石となる「要石(かなめいし)」を入れると、びくともしない強い橋になる。
・宇佐市院内町にはめがね形の石橋が64基もある。
・深い谷に村がある院内町は、大雨のたびに木の橋が流されていたので、丈夫な石橋が必要だったこと。
・材料になる石がたくさんあったこと。
・立派な技術をもった石工たちがいたこと。
・橋をつくる作業は難しく、とても危険だったが、丈夫な橋ができれば、村の人達が安心して行き来できるし、物を運ぶのも楽になるから、橋をつくったこと。

あつしさんは、日頃何気なく見たり通ったりしていた橋に、昔の人達の願いがたくさん積み上げられているんだと思いました。

2 内容項目と教材

(1)重点を決める

内容項目の「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」は、
①伝統と文化の尊重
②国や郷土を愛する態度
の2つに分けて考えましょう。

そして、教材がどちらにじゅうてんが置かれているかを考えましょう。
今回の「ねがいをつみ上げた石橋」は、②国や郷土を愛する態度です。

39番目の補助教材に「かつおぶし」がありますが、
これは、日本に古くから伝わる伝統(の食べ物)なので、
①伝統と文化の尊重です。

1つの教科書で重点がずれているので、内容項目の全てを網羅しているということですね。

(2)先人の思いを想像する

②国や郷土を愛する態度に重きを置くことがわかりました。
では、どのように授業を展開していけばいいのでしょうか。

それはズバリ、先人の思いを想像することです。

石橋をつくることは、並大抵の苦労ではありません、
数年前、日本テレビ「鉄腕DASH」で、TOKIOのメンバーが無人島にトロッコ用の石橋を作っている時期があり、
石橋について詳しく説明されたことがありました。

・要石は少しでもずれると、一から組み直さなければならない。
・石1つが重たいので、全員で力を合わせて持ち上げなければならないこと。
・石を削ることは容易ではないこと。

こういった知識を、予備知識として子どもたちに伝えてもよいでしょう。

また、今のような道具が発達している時代でも、石橋を作ることは簡単ではないです。
充分な道具が発達していない時代に、現代でも現役で活躍する石橋を作った。

この努力と知恵、そして完成させるという強い思いは、
並大抵のことではないでしょう。

では、橋の建設に関わった先人たちは、どんな思いをもっていたのでしょうか。

・町の偉い人に頼まれたから、イヤイヤ橋の作業をしていたのでしょうか。
・ただ言われたから、石を積んでいたのでしょうか。
・石橋を作ることを目標にしていたのでしょうか。
・石橋が町にかかって、町民の生活が豊かになることを願っていたのでしょうか。

きっと、町民の生活が豊かになることを願って作業していたのでしょう。
その「町民」の中には、未来の町民も混ざっています。
みんなが、ずっとずっとよい暮らしをしてほしい。
そんな願いが、1つ1つの石に積み上げられているのです。

(3)イソップ童話

イソップ童話の中に『3人のレンガ職人』という話があります。
今回の「ねがいをつみ上げた石橋」の授業づくりにつながるものがあったので、
ご紹介します。

3人のレンガ職人

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって、

「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

「何をしているのか」という問いの答えを整理します。
1人目の職人・・・特に目的はなし
2人目の職人・・・生活費のため
3人目の職人・・・未来への貢献のため

だれが一番、モチベーションを高くして仕事をしているか、一目瞭然でしょう。

石橋を作った石工職人も同じ視点で考えてみましょう。
石工職人の目的はなんだったのでしょうか。
石橋建設中に「なにをしているの?」と聞かれたら、なんと答えるでしょうか。

石橋をつくる「目的」を考えることで、
先人たちの思いがより詳しく見えてきそうですね。

3 導入

T:教師 C:子ども

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