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1年『あなたってどんな人?』【個性の伸長】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『1年「あなたってどんな人?」【個性の伸長】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

「個性の伸長」と聞くと、
『長所を伸ばす』ことだと
すぐに頭でイコールになりますが、
その前の段階として、
自分の長所と短所に気付くことが大切です。
また、長所を伸ばすだけでなく、
短所を改めることも高学年では求められます。

『長所を伸ばす』だけではない、
ということをまずは理解しておきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「個性の伸長」
1・2年の目標・・・・自分の特徴に気付くこと。

1年生「あなたってどんな人?」(日本文教出版)

あらすじ

はるひとくんが友達を紹介しています。

まさとくんはあわてんぼうで忘れ物が多い。でも、友達に優しい。
ほのかさんはピアノをひくのが上手。でも、水泳はちょっと苦手。
最後につばさくんとあおいさん。
(あいさつをする、掃除をする2人の絵)

「えらいな・・・。ぼくもまねしようっと。」

2 内容項目と教材

目標に「特徴」という言葉があります。
しかし、世の中には、「特長」という言葉もあります。

辞書で調べてみると、意味は次のとおりです。

特徴・・・ 他と比べて特に目立ったり、他との区別に役立ったりする点。
特長・・・すぐれた(=長)特徴。

つまり、特徴はいい点も悪い点も含んでおり、特徴の中のよい点が特長ということです。

目標には「特長」ではなく「特徴」とあることから、いい点も悪い点も含めて自分を見直し、特長を伸ばそうという解釈ができます。
ここでは長所を伸ばすこと、短所を伸ばすことは含まれていないのですね。
実は長所を伸ばすことは中学年、短所を伸ばすことは高学年の目標に含まれます。

低学年は、自分の長所と短所に気付くことができればOKです。
その方向で授業を進めればいいので、ゴールが迷うことはありませんね。

では、授業はどのように進めればいいのでしょうか。

授業展開のアイディアを1つ提案します。

はるひとくんは、友達の短所にも気付いて紹介しています。

これは、なぜでしょうか?

学校で同じように「友達を紹介しよう」のような活動をすると、勝手に何かのストッパーがかかって、子どもは友達の「いいところ」しか言わないのではないでしょうか。

それは、友達の短所を発表することは、欠点を指摘することになるからです。

しかし、はるひとくんは紹介をしています。

この部分に着目して、発問をしてみましょう。

『はるひとくんは、にがてなことも言っているけど、いいところだけを言えばいいのだから、はるひとくんは悪い子じゃないかな?』
『なぜ、はるひとくんは友達の苦手なところも紹介したのだろう。』
『長所だけの紹介と、長所と短所の紹介だと、聞く人はどんなちがいがあるのだろう。』

このように、短所もいっしょに紹介したはるひとくんの気持ちを考えます。

すると、子どもによって考えが分かれるでしょう。

ある子は、
「苦手なことは言う必要はないから、言わなくていい!」と言うでしょうし、

またある子は、
「苦手なところもきちんと見つけているはるひとくん、えらい!」と言うでしょう。

どちらが正しい、正しくないということを決めることは正解もないし、ゴールでもありません。

この「短所も指摘したはるひとくん」について考えることを通して、

友達のことをよく見るために大切な心

を考えているのです。

はるひとくんは、友達の長所(得意)・短所(苦手)を両方同時に見つけています。

それぐらい、友達のことをよく見ているし、人の特徴に気付いているということです。

では、なぜはるひとくんはそんなに友達のいろいろなことに気付けるのでしょうか。

はるひとくんの長所はなんでしょうか?

ここに、授業の核があります。

結論を言うと、はるひとくんは、人に対して思いやりがあるのです。

思いやりをもつためには、相手に関心をもつことが必要です。

相手に関心をもっていると、いろいろなことに気付きます。

まさとくんが忘れ物をして困っている様子。
まさとくんが昨日と同じものを忘れている様子。
まさとくんが先生に注意されている様子。
でも、そんなことは関係なく友達に優しく接している様子。

ほのかさんがピアノを上手に弾いている様子。
ほのかさんのピアノを興味をもって聞いている周囲の友達の様子。
水泳で怖がりながらもチャレンジするほのかさんの様子。

はるひとくんには、長所だけ見えているのではなく、短所も見えているからこそ、長所がより輝いて見えるのでしょう。

だから、こうやって友達を自信をもって紹介しているのです。

短所を指摘することに他意はなく、純粋にはるひとくんは短所も合わせて伝えることで、長所をよく見ていることを伝えたかったのです。

発問は、答えを出すためにするのではありません。

「なぜはるひとくんは短所をいっしょに紹介したのか。」と聞きますが、その答えを出す必要はありません。

その過程で出てくる子どもたちの考えをまとめていくことで、自分自身の長所や短所について考えるためのヒントとなるキーワードがたくさん出てくるので、それを拾っていき、まとめにするのです。

この考え方は、これまでの道徳のやり方に縛られている人は理解できないでしょう。

発問をしたら、答えまで出すのがセットだから、と考えてしまうからです。

道徳は他の教科とはちがいます。

算数のように明確な答えがあるわけではないし、
国語のように筆者の主張がはっきりしているわけでもありません。
社会のようにゆるぎない事実もないことが多いし、
理科のように実験をして毎回同じような結果になることもありません。

発問をすることで、その過程で思考が生まれる。
その時間を大切にする教科です。

だから、「特別の教科 道徳」なのです。

1年生の道徳も29個目の資料となりました。

この教材を学年の終盤で扱うことが多いはずです。

子どもの思考は、これまで道徳で十分培われてきています。

「そんなことない・・・。もうちょっと〇〇ができていればいいのに・・・。」と思うでしょうが、人はどこまでも欲深いもので、いくら成長しても上を見てキリがなく欲が出てきます。

しかし、立ち止まって4月(もしくは学年当初の子ども)を想像してみてください。

道徳という定規で見て、伸びた部分はきっとあるはずです。

意外と、しっかり考えてみたらたくさんあるかもしれませんよ。

そんなぐーんと伸びた子どもたちを、もっと高みに上げるために、今回の授業もぜひ、なにか1つでも授業者が挑戦をしたいですね!

3 導入

T:教師 C:子ども

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