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6年『二十五人でつないだ金メダル』【集団生活の充実】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「二十五人でつないだ金メダル」【集団生活の充実】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今回の内容項目のキーワードは
ズバリ「当事者意識」です。

これだけを押えれば、
この内容項目は恐くありません。

難しいことほど、シンプルに考えられる人は、
思考がスッキリしている証拠です。

この記事を読んだら、
きっと頭がスッキリすることでしょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「よりよい学校生活、集団生活の充実」
5・6年の目標・・・・先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合ってよりよい学級や学校をつくるとともに、様々な集団の中での自分の役割を自覚して集団生活の充実に努めること。

6年生「二十五人でつないだ金メダル」(日本文教出版)

あらすじ

1998年、長野オリンピック。
激しい吹雪の中、スキージャンプ団体競技が行われた。

最強と言われた日本代表チームは現在4位。
天気が悪くなってきたので、テストジャンパー25名が無事に飛んで、安全であることを証明しなければならない。

選手の1人である原田選手は、いつも同じ道具を使う人だった。
しかし、本番で身につけていたアンダーウェアやグローブは、テストジャンパーの西方さんらのものだった。

西方さんは胸に熱いものがこみ上げてきた。

西方さんら25名は、「絶対に選手たちを飛ばせたい。みんなで飛ばせよう。メダルをとらせよう。」
そう決意して、安全を証明するテストジャンプを全員成功させた。

テストジャンパーには、観客からの拍手も歓声もなかった。

そして、競技は再開され、日本代表は悲願の金メダルを獲得した。

原田選手はインタビューで、「おれじゃないよ。みんななんだ。みんな。」と答えた。

西方さんは、「そうだろう。『みんな』だよな。」

選手としてとったリレハンメルオリンピックの銀メダルもうれしかったが、
長野の金はずっしりと西方さんの心に残っている。

2 内容項目と教材

読むだけで感動する、素敵な話ですね。

子どもたちは、オリンピックと言えば夏季をイメージするので、冬期の、しかも20年以上も前のオリンピックは、全く知らないでしょう。

子どもたちの事前の知識として、映像を見せるといいですね。
原田選手の名言や、テストジャンプの様子など、この長野オリンピックのスキージャンプは多くの映像が残っています。

その上で、授業を進めるようにしましょう。

この話でポイントになるのは、「西方さんの思い」です。

西方さんは、テストジャンパーとして誇りをもって飛びました。
しかし、前回のオリンピックでは選手として出場し、メダルも獲得しています。

「自分が出ていれば、いい結果を出せたはず。」という思いがなかったわけではないと思います。

しかし、テストジャンパーとしての西方さんの姿には、そんな思いは全く感じさせません。

なぜなのでしょうか。

西方さんは悔しくなかったのでしょうか。

ここが、子どもたちと話し合ってみたいところです。

悔しい思いがあったと思う子もいるでしょうし、なかったと考える子もいるでしょう。

いずれも、理由とともに聞いてみたいですね。
議論が活発になりそうな話題です。

また、原田選手は、なぜ西方選手らの道具を着て本番に臨んだのでしょうか。
テストジャンパーの思いは、それはそれとして受け取って、競技に集中できる環境を整えたほうが、いい結果に繋がる可能性は高まったのではないでしょうか。

ここも、考えてみたいところですね。

西方選手は、テストジャンパーとして自分の仕事を「全う」しました。

そこに悔しさがあったかなかったかは一旦置いておき、与えられた自分の仕事・役割を精一杯果たしたのです。

選手が安心して飛べるように、自分たちがテストをして安全を証明する。
そして選手の戦う場を整える。

その経験は、リレハンメルオリンピックでは味わえなかったことです。

きっと西方さんは、そのとき気付いたことでしょう。

リレハンメルのときにも、自分を支えてくれるテストジャンパーがいたことに。

長野オリンピックで選手を支える側に回ったことで、リレハンメルオリンピックで自分が選手として競技できたこと、メダルを獲得できたことは、自分のちからだけではなく、多くのスタッフさんらに支えられていたことに気付いたのです。

長野オリンピックをとおして、リレハンメルの経験もさらに西方さんを成長させることになったのです。

また、原田選手はなぜ他の選手の道具を身に着けたのでしょうか。

日本で開催される地元のオリンピックなので、日本人がスタッフ・テストジャンパーなど多くの大会役員を務めます。

また、原田さんにとって西方さんは、前回のオリンピックをともに戦った戦友です。

今回は選手として出ることができなかった西方さんの悔しい思いを、原田選手はよく理解していたのです。

だから、前回のメダリストである西方選手と葛西選手の道具をつけて、本番に臨み、「共に戦っている」という思いを背負いたかったのです。

なんとも胸を打つ話ですね。

西方さん、原田さんは互いに自分の役割を「全う」しようと、自分ができる最大限のことをしようとしています。

ここが、授業の核になります。

悔しい思いはあったかもしれませんが、自分は与えられた(決められた)役割で、今できることを一生懸命やる。

それが、光の当たる仕事かもしれないし、誰にも気づかれない仕事かもしれない。

でも、チームとしての仕事には変わりなく、一生懸命やることで、みんなで取り組むことのよさにつながるのです。

原田選手の言った「みんな」とは、だれのことなんでしょうか?

もっと生活に近づけてみましょう。

あなたが今、クラスのためにできることをやると、「みんな」喜びます。
この「みんな」って誰でしょうね?
果たして、クラスの人だけでしょうか?

考えてみると、「みんな」って、意外とたくさんの人がいることに気付きますよ!

3 導入

T:教師 C:子ども

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