春風によせて

長い冬に終わりを告げて
やさしい陽だまりに身をおいて
春一番が吹き荒れて
そしたら裸の君になれ
春の風に捉えられたら

それは終わりのない音楽
たゆまなく続く子守唄
寄せては返す波の音
ごまかさなくてもいいけれど
過小評価することもない
いつでも私は私
どこまでいっても君は君

春風が吹くとふと思い出す
そう ふと
その一瞬のためにこそ春はあり
その一瞬以外のすべてを
忘れ去ることに費やしたとして
春風は知らん顔して頬を撫でていく

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