2022_0228_本読み

2月28日(月)は以下を読みました。

山崎
『しゃぼん玉 その黒い膜の秘密』立花太郎 著中央公論社、1974年刊
10 生きている黒い膜
あとがき

〈本書の物語はこのような分子の集合系についてのよもやま話だったとも言えるのである。〉

とありました。

このあとがきは、本文には無かった「わたくし」という主語で書かれています。それで、物語が美しく終了していく、という気分を味わいました。

山崎は、量子力学・分子生物学・進化論・電気・物質などなど、科学や工学全般に興味があるので、今後何かを読む折々に、ああ、あそこにあの図があったなとか、あの科学者がとか、思い出すかもしれないと思います。

いいものを読んだ、という充足感がありました。



はやしさん
『ねえさんの青いヒジャブ』
イブティハージ・ムハンマド S・K・アリ 作、
ハテム・アリ 絵、 野坂 悦子 訳
BL出版

どこの国が舞台だろう?と思いながら、あとがきでアメリカの絵本とわかりました。アメリカで女の子がムスリムとして生きるのはたいへんなことでだな、と想像しました。

前に読んでいただいていた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を思い出し、続きが知りたくなりました。



きよもとさん
『俳句と地球物理 』寺田寅彦  著
ピタゴラスと豆

かの有名なピタゴラスが、豆を禁忌としていたという、ほとんど噂話かもしれない話(と、著者が書いていたような気がする)を、ぐるぐるといろいろな角度から書いていて面白かったです。

豆の禁忌で思い出す、として出てきたのが、

芥川龍之介が内田百閒の山高帽を恐れている、
あるいは山高帽をかぶった百閒を恐れている、

のかが判然としない、という事例。

妙な味わいに、内田百閒の文や顔を思い浮かべて少し笑ってしまいました。



山崎
『芭蕉連句集』岩波文庫
二七 かくれ家や(伊達衣)93〜95ページ

昨日書いたように、この歌仙は、奥の細道の旅での元禄二年四月二十四日(西暦に直すと1689年6月1日)の興行です。

発句で、芭蕉は、庵の主の栗齋の「栗」を詠み込み、
脇句で栗齋が、まれびとの芭蕉を「螢」と詠んで受けています。

場と人に、挨拶して歌仙の始まる雰囲気が、ちょっと掴めて嬉しいです。

季節は6月初ですから、まさにちょうど栗の花が咲いているのかもしれません。そして、山崎は、栗の花は、かなり好きです。

俄然、世界に入れるような気持ちになってきました。毎日少しずつ、ゆっくり読んでいるのも、徒歩で旅した江戸時代の時間に合っているのかもしれません。

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