『甦るフレーブニコフ』音読記録その9

〈 1994字 〉

『甦るフレーブニコフ』音読記録 は、
2020年末〜2021年初めにzoomで音読した毎回の感想を改めて書き出したものです。

著者の亀山郁夫先生のzoom講義(2022年12月4日(日)10時から12時、ヒッポファミリークラブ主催)がありますので、これを機会に、と思いアップしています。

12月4日までにアップし終わるように、毎日、4日分程度アップしていこうと思います。

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2020年12月10日(木)  第14章 数または縛られた神々
「永遠回帰」
(294〜301ページ)

「時間の法則」のことが続きます。スクリャービンとかストラヴィンスキーを聞きたいな、と思いました。そこらへんの音の経験が本当に薄いので。門外漢から見ても、音楽と数字のつながりはすごく感じます。 漠然として、良く理解できないですが、数という曖昧さのないものを使って、さまざまを計量して明らかにしようとしている、と感じます。

山崎は、新しい計測基準を作ることで、世界そのものを全て新しい視点でみよう、みたいなことなのかな、とも感じます。
それだけでは全く不足な見方だと思うけれども、とりあえずそういう風に受け取るなら、山崎が自分の作品の値段を決めるときに、作業秒で考えてみるのか、もっと他の数値によるのか、そこら辺を、あーでもない、こーでもない、と自分に対して理屈を作ろうとするのにちょっと似ているのかもしれないです。
〈労働量を時間ではなく、心臓の脈搏数によって測定すること〉という記述から思いつきました。

しかし、全体として、素晴らしく良いアイデアとは思わず、それに熱中してるその成果はすばらしいのだろうけれど、と、読むこと自体は楽しいです。


2020年12月13日(日) 第15章 アジアそしてアフリカ
「アジア回帰」
(302〜309ページ)

二つつづけて「回帰」がタイトルに入る文でした(この前の14章の最後が「永遠回帰」)。

アジアをスラブに混血する?、 一方、ロシアは近親相姦という血の混じり合いにより滅びに向かっている?、 今、山崎も「血が混じる」という表現で二つのことを書いてみましたが、この二つは違うことなので、矛盾はないと感じますが、それを矛盾的なものとして描いています。
そう書いていて、 飛び込んできたのが、кровосмешение、という語で、この語が「混血」とも「近親相姦」とも訳しうる語だということです。
これはロシア語(ないしはスラブ語?)であれば、矛盾や葛藤を表現できるということですね。 時代背景、ロシアという現場、など、うっすらとですが、想像できるのがすごく面白いです。
第二次大戦後の日本に生まれた山崎も、アメリカによる支配の元に、広く言えばヨーロッパの史観によって育って、優勢な文化による非支配、という葛藤がありますから、それを、説明してみたいという欲求には、ずっと、常に、かられて来ましたから。

2020年12月14日(月) 第15章 アジアそしてアフリカ 
「アジアの弦ーー『かわうその子供たち』」
(310〜317ページ)

フレーブニコフの内部世界?の広大さ、が、なんだかすごいなーという感じです。

インドの細密画からの触発で、もともと在った内部世界へ爆発的に妄想が広がったのだろうなと想像します。 文学作品の映画化とかドラマ化ってよくあることですけど、山崎の妻も一昨日そんなドラマを見ながら、本の中にある「家の方がすごい」って言ってました。ことばで説明してある「家」の方がすごいわけです。ことばって、この特徴を持ってるんですよね。読んだそれぞれの人の中に、例えば、すごい建築物ができてしまって、それは当然、現実の追いつくところではない、的な。

フレーブニコフの場合さらに、生きてる彼自身が、「島」という、巨大な自然の建築物のようなものとして妄想されてて、なんだか空恐ろしいです。

ロシア人で、フレーブニコフを読むってどんな体験なんだろうかと思いました。

2020年12月16日(水) 第15章 アジアそしてアフリカ
「アジアの弦ーー『カー』またはアフリカの声」
(317〜324ページ)

エジプトのカーといえば、死んでピラミッドに入ったファラオを導く者?

こどものころに、さんざんイーリアス、オデュッセイア、そして、シュリーマン(トロイア)やカーター(ツタンカーメン)やエヴァンス(たしかクレタのミノス宮殿?)の発掘ストーリーを読んでいたので、山崎の中では、そこへつながりました。

きっとフレーブニコフの時代と場所では、山崎のそれらとはまた違ったイメージでそして、さらに別のものへとも繋がっていて、、、、6000年くらいの時空を行き来してのストーリーが展開しているのです。

それを読みながらふと何かに似ている!と思って、永井豪を思い出したのでした。特に『手天童子』。


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