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2022_0702_本読み

<1722字>

冒頭の写真:
ネムの花が散っていました。染めた糸のようなグラデーションです。

ひさびさにこの公園までジョギングしました。

この前日が、大好きなニイニイゼミの今年の初聴きで、こうしてネムを撮っているこの時も聴いていたのですが、

なぜか、そんなには「染みいらない」感覚なんですよね。

毎年繰り返す季節、また夏が来た、という親しみの感覚が薄いからでしょう。



7月2日(土)は以下を読みました。

『虹の解体』 リチャード・ドーキンス 著

福岡伸一 訳
早川書房
第5章 法の世界のバーコード

DNA鑑定における統計学(そのものではなく)の周辺にある難しさの部分が、詳しく語られていました。

前に出た「面通しテスト」でいえば、容疑者が黒人だったとき、他の人を全て白人にしてしまう、などのような操作は可能で、その部分についての科学者以外の人の感覚はかなり鈍いのだ、ということです。

この例は、説明されれば、おかしい!とすぐにわかりますが、ちょっと問題が複雑化すると、素人は簡単にだまされる、と思いました。

(音読した人:山崎)






『暗殺の年輪』から「溟い海」 藤沢周平 著

文春文庫

くらい、はこの字「溟い」でした。調べると、この「溟」だけ海の意味があるんですね。

さて、現代が舞台の『早春』からここへ来ると、最初から語り口がいきいきとして、とても嬉しいです。

葛飾北斎が老人である、江戸です。

こいでさんの読みっぷりにも、その嬉しさが出ていて、やっぱり楽しいなぁと思いました。

小股の切れ上がった、とか、今は使わない常套句がピタリとはまっている嬉しさ。

北斎は1760〜1849年。「画狂老人」って名乗ったのが1834年というから、その頃なのでしょうか。追々わかってくると思います。

(音読した人:こいでさん)





『まって』  アントワネット・ポーティス 作
椎名かおる 訳

あすなろ書房 

作者が、アントワネットという名前だからフランスの絵本かな、と思ったら、アメリカの絵本でした。

この展開、日本だったら、もっとお母さんが、いらいらした顔をしてるんじゃないかな、と思いました。作家さんの画風がこうなので、こうなのかもしれないですが。

(音読した人:はやしさん)





『連句  :  理解・鑑賞・実作』  五十嵐讓介 著

おうふう
第五章 東明雅 著

芭蕉のやりかたを現代に生かす場合の、外来語、俗語、卑語、方言などをどう使うかについてでした。

印象に残ったのは、カタカナ語を打越うちこしに出すな、ということばです。

まず、打越がわからなかったのですが、付句の前々句ということです。

それがわかっても、カタカナ語(つまり外来語)の扱いがどういうことを言っているのかは良くわかりませんでした。

また「丈くらべ」ということばもあって、長句の後に長句、短句の後に短句をうっかり詠んでしまうことだそうです。これはニュアンスわかりますね。

(音読した人:きよもとさん)






『学問のすゝめ』 福沢諭吉 著


岩波文庫
十五編 事物を疑いて取捨を断ずること

格物窮理かくぶつきゅうりということばが出てきました。
窮理学は現代でいう物理学のことだ、とは知っていましたが、格物窮理は検索すると、もともと易経の中のことばで、それが朱子学でクローズアップされたようです。

窮理のことを読んでいたら、明治初期には窮理書(身近な空気や水について物理的に解説する本)が大流行して、その代表的なものに福沢諭吉の『窮理図解』というのがあるそうです。

ウィキペディアでは〈日本で最初の科学入門書とされる〉とありました。

(音読した人:めいさん)






『芭蕉連句集』  中村俊定・萩原恭男 注

岩波文庫、
三四 溫海山や(曾良俳諧書留)114〜116ページ

31、32句目で

〈奈良の京持傳もちつたへたる古今集
花に符をきるぼう酒藏さかぐら

と、ずいぶん明るい調子に変わったのを感じます。
奈良といえば酒、で、坊、は、寺方のと、別の本にありました。お寺で酒を作っていたのでしょうか?

ちょうど名残の折の裏に入ったところなので、こんな感じにするんでしょうね。急に春なのです。

(音読した人:山崎)

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