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2023_1129_本読み

<1147字>

冒頭の写真:
手製本で本を作っていると、ほとんどの場合「四角」を相手にしています。
初心者の学生に製本をおしえるときは特にそうです。
角が直角の「直方体」しか使いません。縦×横×厚みで全部表せるから、計算もとても簡単。
最近そういうほんとうに単純なことに気づいて、すごくいいと思っていた「数値化しないで作る」をまったく変えたやりかたもありだな、と思うようになってきました。


11月29日(水)は以下を読みました。


『巨匠とマルガリータ』 
ブルガーコフ 著

集英社 世界の文学15 ロシア Ⅲ

精神病院に入院しているベズドームヌイの夢(そもそもこれはヴォランドの語っているお話かもしれないのだが)ということでのキリストの磔のシーン。
けれども話の焦点は、処刑そのものではなく、それを見ているある人物にあてられる。いったい誰なのかと思ってじれていると、レビ・マタイ、と名前が明かされる。マタイといえば福音書の筆者?と思って検索。マタイは十二使徒のひとりで、最初の福音書はマタイによるものなのですね。

(音読した人:山崎)





『犬が星見た』 武田百合子 著

岩波文庫

タシケント。ここで三年前(1966年)に大地震があった、ことを知りました。こんな内陸でも地震あるんだな、と四川地震を思い出しました。プレートの移動の力のかかるところは、内陸にもあるらしいです。

あ、そんなことは本文には全く書いてなくて、ガイドの青年と見習いのパツパツに太った女性ナターシャの描写が面白かったです。

〈 「スパシーバ。あなたはしんからブスね。」私はにこにこしたまま、ナターシャにも握手して言った。イヒヒ。 〉

これが筆者の捨て台詞。感じが悪い人とか不愉快な思いとかこそが格好のお話のネタです。

(音読した人:きよもとさん)





『漱石・子規往復書簡集』 和田 茂樹 (編集) 

岩波文庫

まだまだ続く、漱石の22通目(明治24年)の手紙。子規にお薦めされた『明治豪傑譚』の感想をきっかけに、びっちりと埋められた文面は、社会や人間を論じて、推敲した文のようで、手紙ではなく、普通に作品を読んでる気持ちになりました。

(音読した人:めいさん)





『芭蕉七部集』  中村俊定 校注

岩波文庫
『猿蓑』
☆                   
〈 あながちに鵜とせりあはぬかもめ哉  尚白 〉
季語が蛍の句が三つ、の後にこの句。
いつも頼っているサイトで意味を見ると〈 角逐問題を持つ尚白らしい 〉とあって、角逐かくちくが読めずわからずまた調べると、たがいに競争すること、と。
蕉門の弟子たちいろいろあったのを思い出しました。
そんな句を、こう、蛍のキレイな句の後に投げ入れてくる「句集」というもの、面白いです。
 
(音読した人:山崎)

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