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2022_1008_本読み

<1726字>

冒頭の写真:
この季節、カメムシが家に入ってきますね。

これは、外壁にとまっていました。
あまり見かけない種類、と思って写真をとりましたが、
胸の角がずいぶんとんがっていて、特徴的。
ミナミトゲヘリカメムシというのが、名前からして、これではないか、と思いました。あってるか確かではないですが。



10月8日(土)は以下を読みました。

『進化とは何か』 
リチャード・ドーキンス 、吉成真由美 編・訳

第二章 デザインされたものと「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
早川書房

前回読み終わったインタビューだけ読もうと思ったのですが、この章のタイトルに惹きつけられて、二章を読むことにしました。

「もの」には、「石ころ」のように、特にデザインされたとは見えないものがあります。自然にできたんだな、と感じます。
一方「顕微鏡」のようにそれぞれのパーツが明解な意図をもってデザインされてできている、つまり人の作ったものがあります。

ここで急に「ボア(自分よりも大きな動物を飲み込むことのできる顎の構造を持った、へび)」を出してきます(その前に、ウツボカズラも)。

こんなに「明解な意図」を持っているかに見える「もの」は、
いったいどこに属するのか、というのがドーキンスの問いだと思います。

どんなふうに答えるのか、とても楽しみです。

(音読した人:山崎)





『畏るべき昭和天皇』    松本健一 著

新潮文庫
天皇制下の民主主義 その1 敗戦前後

著者の語り口からは、昭和天皇を人間として愛しているということが感じられます。

強調して確認されていたのは、
ポツダム宣言を受諾したのは、政府でも議会でもなく、天皇だった、という事実。

また、
昭和25年7月8日、マッカーサーの促しで吉田茂が警察予備隊を設置した、ということが、印象に残りました。
サンフランシスコ講和条約の調印が昭和26年、施行が27年なので、占領状態を解消する前に手を打っておいた、ということなんでしょう。


(音読した人:こいでさん)





『塩一トンの読書』    須賀敦子 著

河出文庫 
『昨日のごとくーー災厄の年の記録』 中井久夫 他 著 

1995年1月の神戸の震災について、精神科医で文筆家の中井英夫さんによって、1996年に出版された本について書いた文章です。

須賀さんも神戸出身ですが大学で東京へ。親、姉妹はそのまま在住。神戸にはゆかりが深く、震災に衝撃を受けています。

きよもとさんは、
『昨日のごとくーー災厄の年の記録』の中に、須賀さんと中井さんがやりとりしているところを発見した!と言って、そこを読んでくださいました。

95年の11月の中井さんの日記というのか、覚え書きです。

(何語からだったか)詩の翻訳に手こずっているという須賀さんに「原語で暗誦することで、ことばの翻訳可能不可能という論を超えて、自然に日本語が出てくる」というアドバイスをした、ということを、書いていました。

原語の音を暗誦できるまで体に入れてみる、というのは大変だろうけれど、すごく魅力的に感じました。

ウィキペディアの中井久夫の項で
〈ラテン語や現代ギリシャ語、オランダ語にも通じた語学力を活かし、詩の翻訳やエッセイなどで文筆家としても知られている。〉
とあり言語の達人で、しかも精神科医の視点があったことが、上のアドバイスに反映されてることが感じられました。

山崎が次に『不思議の国のアリス』を音読したいのも、拙かろうと「著者の書いた音」を味わいたいからです、と共鳴を感じました。

(音読した人:きよもとさん)





『芭蕉連句集』  中村俊定・萩原恭男 注

岩波文庫、
四一 鶯の(なにぶくろ)141~143ページ

〈 くわも早苗も一度成けり 〉

一度成けり、がわからず、現代訳のある別の本をチェックしました。
桑の葉の摘み取りも、田植えも一時に重なって多忙、という状態のことを言っている、とわかりました。

575と77という極度に限られた音数で、その場で通じる句を作りだす連句では、あうんの呼吸で意味も伝わっているのでしょう。

それを別のところで読むと「?」と、とまどったりするのが、かえって面白いです。

(音読した人:山崎)




















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