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公立病院改革1〈2005年〉北陸350床 KN病院(15)

診療報酬に関する話の続きで。

KN病院で、コンサルのY氏が作成したレポートの中で指摘されていた、この病院における診療報酬取扱いの問題点は、次のようなものだった。

レセプト検証結果報告書

【総括】

月額で、百万円単位の改善の可能性が高い。

【詳細指摘事項】
・手術中の撮影と思われるフィルム料の算定について、画像診断の費用を別に算定できる手術においての撮影料・診断料・デジタル映像処理加算の算定漏れ。(複数あり)
・慢性腎不全で糖尿病、上部消化管出血の病名あり。人工腎臓の障害者等加算漏れ。
・両肩関節周囲炎の病名あり、関節腔内注射×1に対してアルツディスポ2筒使用。両肩関節に行っている可能性あり→関節腔内注射の手技料が1回算定漏れ。
・同じく両肩関節周囲炎の病名、肩関節単純撮影にフィルム4枚使用。両側疾患なので両方撮影していればそれぞれに診断料・撮影料の点数算定できる可能性。
・注腸造影の際の造影剤注入手技料算定漏れ。(3管分離逆止弁付きバルーン直腸カテ使用)
・胃造影の際のデジタル映像処理加算算定なし。漏れ可能性。(複数あり)
・皮膚欠損用創傷被覆材使用、処置料算定なし。
・当月褥創病名発生。褥創患者管理加算算定漏れの可能性。
・薬剤管理指導料及び、退院指導加算の算定症例が少ない。(多数)
・時間外入院の時間外緊急院内画像診断加算の算定漏れ。
・抗癌剤点滴における精密持続点滴注射加算の算定漏れの可能性。(複数)
・膵癌の患者に対して膵頭部腫瘍切除術施行。理学療法の早期加算(急性発症した脳血管疾患等の患者)算定可能と思われる。


と、いう具合だ。
しかし上記の指摘事項も、レポート全体の2割程度に過ぎず、実際は数倍の指摘事項があった。

でも、Yさん曰く「今回は簡単なレポート作っただけですから」と。
確かに、このときは日当程度の廉価な委託料で、レポート作成をお願いしただけだ。
きっと正規料金でお願いしたら、この何十倍もすごい報告書が出てくるのだろう・・・


しかし、その簡単なレポートだって。
まるで医療現場の動きや意識が、全て見えているかのようだ。
プロのレセプトチェックというのは、こういうものなのか。

こういう言葉や対話が並ぶと、医師も病院スタッフたちも納得できるし説得力がある。

僕はこの時期、この分野については、何一つ理解できなかった。
しかし、これをやらなければ、医療系税理士だの、医療系会計事務所などと名乗れないのでないか?
とも思った。
病院の税金計算をやっているだけでは、医療機関コンサルなどできないのでないか?

その後数年、そういう悩みを持ちながら勉強し、現場実務にあたることになる。

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