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公立病院改革3〈2006年〉東北170床 公立F病院(2)

公立F病院へ行く日が決まった。
仙台に新幹線で行ってから、クルマで移動だ。

遠方出張というのは、好き嫌いが分かれる分野だ。
僕は、ハッキリ言って「好き」なほうだった。

運転は好き。
電車移動は好き。
知らない場所の寄り道が好き。
遠方になるほど、気持ちが解放される・・・

ということで、出張案件は僕に向いている。いまも、依頼があればどこまでも行く。

ディテールは覚えていないが、初回、新幹線で仙台に行った後にレンタカーで病院に向かう。
当時、当然のことながら、どの案件でもペーペーの僕が運転手だ。
だが、僕はそれが気になったことはないし、運転自体が好きだから全然、苦にならない。

田園地帯を長い運転をして、抜けていく。
ああ、日本にはこういう場所がたくさんあるんだ・・・と、新しい刺激が生まれていく。

そして病院に到着して、指定された会議室に行った。
すると。

ドアを開けたら、職員さんたちが左右に並んで、深くお辞儀をして、お出迎えしてくださった。
ドラマや漫画で見たことがある、王宮などで廊下両側に家臣たちが立ち尽くし、王族や来賓を出迎える、アレだ・・・

何ということになったのだ。
僕は、たまたまこの事務所に就職してしまった税理士受験生、コンサル経験は(先の一件以外)皆無、という状況であるのに。

そこで出されたお弁当が、現地の一番高級クラスの弁当だろうというほど、贅沢な弁当だったことを、いまでもよく覚えている。
期待されているコンサルタントや税理士は、いい弁当を出してもらえるのか・・・!!

お金をもらう側が良い待遇を受ける、なんて考えたことが無かった。
いやーびっくりした。本当に。

でもすぐに、思い返した。
ボスが公職にあるから、その匂いが神通力となり最恵国待遇になっているのだ、と。
来たのがまさか初心者の寄せ集めで、実務経験ほぼ0で送り出されているとは、全く知らないのだ、と・・。

どうせすぐにボロが出るから、最恵国待遇は辞めてくれ・・・!!!

そして案の定、後にすぐボロが出て、最恵国待遇はさっさと消滅することになったのだが。
この出迎えの衝撃は一生忘れない、いまも鮮烈な記憶として残っている。


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