第122号 希望と絶望の間で
2023年8月28日
先日、某友人と盃を交わす機会がありまして。
随分と前からお互い〝何かの折に〟どちらからとも無く(でも大体に於いては私から)声をかけ、タイミングが合えば飲みに行く、そういったことを繰り返しているのです。
今回の酒の肴は【生きているうちに会っておこう】ということ。
先日、旧友が亡くなったという話を風の便りで聞きまして。
そういえば、同窓会を久しくしてないね、という話題になり。
まぁ私も半年前に死にかけた身としては、いつでも会える、という確証は何処にもなく。
ちょっとお互いの生存確認でもしておこうかな、と。
会ってしまえば、話題に特に目新しいものは無かった訳ですがね・・・
「君の話は、突然とてつもなく遠くの話になることがあるな。君の頭の中では理路整然としているのかも知れないけれど、我々の様な一般人には、その途中経過が分からなければ話についていけなくなっちゃうんだよね」
嗚呼、これも10年以上前から言われ続けてるな (笑)
駄菓子菓子!
飛躍した話が出来るのもまた旧知の仲であるからであって、そんなこんなの堂々巡りを燗酒と共に繰り返し盃が進む。
そんな折、生きる喜び、楽しみ、みたいな話になり
「それは、希望と絶望の間にあるんだと思う」
と友人が言った。目が覚めた。なるほど!希望と絶望の間に、か!
かなり感動して、その瞬間に盃を2,3空けた、と思う。
感動したので、少しでもこの感動をメモに残しておこう、とヨレヨレながら文字に残した。
その時は凄く感動したし、この話題は是非とも深掘りしたい!と心底本気で思った・・・
はずなのに、酒が抜けてシラフに戻り日常生活が再開していつも通りの雑踏の中で日々を過ごすと、あの感動を思い出すこともできなくなる。
感動し、興奮し、そこに希望を見いだしたものの、翌日には忘れてしまっているという絶望。
なるほど、ここにも希望と絶望の間が存在した。
ちなみに、正しく思い出せないにせよ、その時どんな話をしていたかというと、希望と絶望の間に距離があるほど面白い、淡々とした人生、というけれど、そんな人生は本当に面白いのだろうか?そんな人生を歩みたいと人は思うのだろうか?・・・そんな話だった、ように記憶している。いや、記憶はしていない。おぼろげに思い出し絞り出した、記憶というより感想なのかも。
酩酊するほどでは無いにせよ、そこにこそ「日常の中の非日常」があるんだなぁ~と、客観的にみればそうなんだろうけれど、当の本人からしてみれば「あのピュアに嵌まり込んだ時間が愛おしくて戻りたい」と思ってしまう。
酒の席とは、そういうもの、かも知れない。
そういうことが度々あるから酒の席は止められない、かも知れない。
良い酒の席とは、そんなこんながあっても、結果楽しく翌日を迎えられるもの、かも知れない。
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