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気儘日記

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毎日のように書くかもしれないし、思い出した時に書くかもしれない。
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2020年5月の記事一覧

限界すれすれの感度と美味なる肌

限界すれすれの感度と美味なる肌

首筋から肩にかけて唇を這わせながら彼は呟いた。
「この匂い、おいしい」

ヒトは頭の中を空っぽにして、感じるがままに言葉を交わしているような時ほど、ハッとする表現が生まれるのかもしれない。
実際、私は酸欠気味になっていたにも関わらず、私の匂いを味覚に結びつけるその感性に対して少なからず嫉妬した。ーだけれど、同時に少し嬉しくもなった。だって、その香りはいつも着けている〈私らしい定番の香り〉とは遠いと

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あやまらないであまやかして

あやまらないであまやかして

大切な人に謝らせてしまうと、どうしてこんなにも気が滅入るのか。
ある昼下がり、楽しみにしていた約束が反故になってしまい、画面に映し出される「ごめん」という文字を眺めながら不思議に思っていた。

同様に、少しも気持ちのこもっていない「気にしないで、楽しんで」の返信もまた相手の気持ちを滅入らせてしまっている気がして、それがまた憂鬱でもある。

長い間、謝られないよりは謝ってもらえる方が良いと思って

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