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【こんな映画でした】110.[エンバー 失われた光の物語]

2018年 5月 2日 (水曜) [エンバー 失われた光の物語](2008年 CITY OF EMBER 95分 アメリカ)

 ギル・キーナン監督作品。映画の邦題は、原作の小説の邦題(翻訳)がそのようになっているから。原題はスッキリしたものだ。それは200年以上先の、未来の地球の一地下都市を描いている。おそらく放射能汚染とかで、地上では住めなくなってのことだろう。その未来の住人のためにある装置が残されている、というのだ。

 そんな狭い小さな「エンバー市」では、市長(ビル・マーレイ)が独裁者のように存在している。もちろん民主的に選ばれた「市長」の顔で。そこに住む住人たちは、まるで独裁主義国家における人々のような様相を呈している。貧しく・暗く・汚い。何を生業としているのかも分からない。

 そんな中で子どもたちは、8歳と18歳とが召集され、各自くじ引きで与えられた仕事に就いていく。リーナ(シアーシャ・ローナン)はドゥーンと交換してメッセンジャーに。その仕事をすることで、彼らはエンバー市の秘密に気が付いていく。しかし市長の不正を暴こうとして、かえって追われる身となり、そこからSFファンタジーの趣きとなる。

 政治的な比喩・批判をまじえたものとして楽しめばいいか。何といってもシアーシャ・ローナンが13歳くらいでチャーミングである。もっとも興行収入は良くなかったようで、そのせいで日本での公開は見送られたとか。しかし公開されていたら意外と受けたのではないかと思う。

 時間をおいて、もう一度見直していく。やはり一度目で気が付かなかったことが分かってくる。例えばリーナがクレヨンのようなもので空を描くとき、青色のそれで塗りたくっていた。地下都市なので青空を見たことはないのに、それでも空は青なのだな、と。
 やや人物をマンガチックに描きすぎているようだが、要するにこの映画は、子どもたち向けだからだったのだろう。

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