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【こんな映画でした】212.[イノセント]

2019年 4月 5日 (金曜) [イノセント](1975年 L'INNOCENTE 124分 イタリア)

 ルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作ということと、丁度ブルーレイディスクが比較的安価で提供されていたので購入し観ることに。
 何が、誰が「イノセント」なのだろう。見終わって、まずそれを思った。まずは殺された(?)赤ちゃん、殺した(?)夫、その妻、と。

 19世紀のイタリア貴族の生態というか、様子を点描しているということか。労働というものが全く無く、貴族同士の招待したりされたりの付き合いのシーンばかりが出てくる。
 庶民はまったく出てこない。貴族の家で仕えている執事や料理人・家政婦などだけ。彼ら貴族たちには、生活らしい生活というものがないのかもしれない。その点はある意味気の毒ではある。しかし彼らは支配者なのだ。

 主人公の男性は、無神論者といわれ、教会にも行かない。それはそれで一種の社会への反抗なのかもしれない。当時は教会と王侯貴族の支配する世の中であったはずだから。

 この主人公たちの結婚も、おそらく自由恋愛とかではないだろう。貴族同士、金持ち同士のいわば政略結婚であろう。そこに人間同士としての愛情を求めるのはそもそも無理なのかもしれない。

 しかしそれを求めるも得られず、結果として他の女性を求めていくことになる。自分のその自由を確保するために、妻にもその自由を保障するという。しかし、最終的にそれは真意ではなかったのだろう。

 愛人の子どもであるから、邪魔者として死に至らしめたわけだから。妻のほうも、それは芝居だったと言っているが、どこまでそうだったのか。疑問の残るところだ。

 しかししかし、最後はみんなイノセント、ということになるのだろうか。誰が悪かったのか、何が悪かったのか。彼ら個人の問題なのか、当時の社会体制の問題なのか。

 以上、とりあえず初めて一回観たところでの感想である。なおここで魅力的な未亡人役のジェニファー・オニールは、[おもいでの夏](1970)で観ていた俳優だった。

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