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【こんな映画でした】584.[二十四時間の情事]

2020年10月16日 (金曜) [二十四時間の情事](1959年 HIROSHIMA, MON AMOUR ヒロシマモナムール フランス/日本 91分)

 アラン・レネ監督作品。邦題が邦題だけにこれまで敬遠していたが、やはり観るべき一本だろうと思って。幸いブルーレイディスクの二枚組で[夜と霧]とのセットだったので、思い切って中古を購入。

 最初の15分余りで広島の原爆の被害の惨状がコンパクトに、しかしもう十分に映し出されていく。そこからはこのフランス人女性と日本人男性との恋の話になっていく。

 主体は女性の方で、彼女の人生を映し出し、かつ彼女自身が考え、変化していくことに。その際の鏡というか切っ掛けになるのが日本人男性ということになるようだ。あくまでも中心はフランス人女性だ。

 配役はエマニュエル・リヴァ、撮影当時32歳と岡田英次、撮影当時39歳。二人はフランス語で話す。

 原題は、映画を観るまでは「広島」という土地・地名のことと思っていた。つまり原爆を落とされた広島という町を愛の対象にしている、と。お終いの方で出てくる。要するにこの二人は名乗り合ってない。つまりお互いに名前を知らない。最後になって、それぞれの大事な町、広島とヌヴァールを借りて、相手の名前にしている。原題はその日本人男性に対して「愛する人」と言っているわけだ。

 ある解説本によると(「広島、わが愛」としている)、この邦題について「最悪」と。同感だ。まったく監督の意図に反するものだろう。どころか冒とくするものだろう。それで果たして客が入ったのだろうか。観客はどうせこの手のものが好きだろう、などと軽く見てはいけない。そもそもアダルト映画でないことくらいは始めから分かっているわけだから。

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