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【こんな映画でした】225.[ゴスフォード・パーク]

2021年 9月 1日 (水曜) [ゴスフォード・パーク](2001年 GOSFORD PARK アメリカ 137分)

 ロバート・アルトマン監督作品。1932年のイギリス。貴族社会の人たちがキジ猟に集まってきて、それぞれの思惑がうごめく。多くの登場人物がおり、誰が誰かがなかなか分かりにくい。短いショットでそれぞれを紹介というか、点景として描いていく。

 全体の狂言回し(監督は「案内人」と言っていた)は、コンスタンス・トレンサム伯爵夫人(マギー・スミス、撮影当時65歳)のメイド役メアリーのケリー・マクドナルド(撮影当時24歳、[ダブリン上等!](2003)で観ている)。彼女が最終的にこの事件の背景と真実とを突き止めることになる。
 あとヘレン・ミレン(撮影当時55歳)もクールなメイド頭を。館の女主人シルヴィアをクリスティン・スコット・トーマス(撮影当時40歳、カッコいい)。

 メイキングによるとこの時代(1930年代)に現役だった執事やメイド・料理人をアドバイザーとして立ち会ってもらったとのこと。もっとも監督はその執事の指摘を無視して本当はやらないこともやらせているようだ(ナイフを拭くシーン)。

2021年 9月 2日 (木曜)
 [ゴスフォード・パーク]のメイキングを観る。そして監督による音声解説を半分ほど観る。なんと登場人物のディテールは分からなくてもいい、と言っていた。私は一生懸命、彼らは何者なのか、と分かろうとしていたのに。

2021年 9月 3日 (金曜)
 二回目は監督による音声解説版で。気が付かなかったことの指摘がいくつもある。そして映画はすべてを分からなくてもいい、と。どうしても全部を分かりたいと思ってしまうのだが、監督や製作スタッフほどに観客の我々が分かるはずが実はないのだ。彼らが一番分かっている。

 でも監督は自分の知らないこと・気が付かないことを俳優たちはそれを演じることによって理解し、知ることができている、とも。とまれ一観客としてはそうガミガミ思わずに、気楽に観ることだろう。ただ一回ではなかなか分からないので、最低二回は観た方が良いようだ。監督も言っている。

 この映画の狂言回し(案内人)は、やはりメアリーであった。監督がそう言っている。あるいは探偵役とも。で、結局、毒を盛ったのはメイド頭で、ナイフで刺殺しようとしたのがその息子。その息子が罪にならないようにと実の母親であるメイド頭が先回りしてウィスキーに毒を盛るのだ。

 たしかにほんの一瞬だが毒を盛るシーンのカットがあった。あまりの短さに見逃してしまうのだが。ただ毒薬そのものは、台所など階下のあちこちにあるのを見せていた。つまり仕事上で必要な薬剤であったということ。

 あと哀切なシーンとしては、メイド頭と料理人頭が実は「実の姉妹」で、二人で抱き合うシーンがまず一つ。それは結局、実の息子との再会にもかかわらず名乗ることもできず別れていったことによるものだろう。

 いま一つは、メアリーとそのメイド頭の息子とが、その屋敷の玄関で別れていくシーン。もちろんそれぞれの仕える屋敷に戻っていくだけのことだが。でもそれはもう永遠の別れであったろう。使用人たちには自由はなかった時代だということだ。

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