見出し画像

【こんな映画でした】351.[天使の贈りもの]

2022年 6月 6日 (月曜) [天使の贈りもの](1996年 THE PREACHER'S WIFE アメリカ 124分)

 ペニー・マーシャル監督作品。今作で5作目となる。原題はホイットニー・ヒューストン演じる「牧師の妻」。邦題はそこに現れた男の天使デンゼル・ワシントンを主にしての題名にしている。彼がキャストの中では一番有名だからかもしれない。もちろん歌の世界ではホイットニー・ヒューストンを知らない人はいないだろうが。

 この映画は、まずはキリスト教の啓発(宣伝?)映画の趣きがある。信仰とは、どういうものか。そして神とともに生きる人生への応援ということに。また、主人公たちをはじめとして、出演者のほとんどは黒人である。黒人たちが主人公の映画ということでもある。

 ふと日本でこのような内容の映画が成立するだろうか、と考えてみた。欧米におけるキリスト教ほどの浸透の有様からするなら、日本でもやはり「神様」と言われる土俗的な信仰(とはいえないくら希薄な)宗教心ぐらいだろう。それで一体、どんな映画が作られることになるだろうか。

 もっとも私は、宗教的な制約や軛のある社会で生きていくのはご免だ。フワッとした感じの、今の日本の状況で良いのかもしれない。厳密な定義としての「宗教」というには、欧米のキリスト教も日本の「神道」もいずれも外れているように思う。映画[沈黙]でも描かれていたように、似て非なるものを信仰の対象として、つまり自分たちの信じたいものを信仰していたというのが実態であろう。

 真面目な宗教者からしたら、激怒されるかもしれないが、良くも悪くも一般大衆というのはそういうものなのだ。それをガミガミと言っても始まらない。ガミガミ言うところから、宗教戦争や異端者の迫害などが生じるのだ。それを思えばフワッとやっているのが、みんなの幸せなのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?