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【こんな映画でした】625.[舞台恐怖症]

2020年 7月31日 (金曜) [舞台恐怖症](1950年 STAGE FRIGHT イギリス 110分)

 ヒッチコック監督作品。解説には「主演:マレーネ・ディートリッヒ」と先に書いてあるが、映画ではジェーン・ワイマンが一番上に。マレーネ・ディートリッヒは二番目に書かれている。映画の中身的にそういうことだ。撮影当時48歳でもあったし。

 相手役の刑事はマイケル・ワイルディングで、[山羊座のもとに]で見たばかり。まずまず格好いい。カメオ出演はとても分かりやすかった。解説に「独特のカメラワークが冴え渡りサスペンスの手法を確立した!」とあるが、分からなかった。

 『映画術』によると、ヒッチコックはこのジェーン・ワイマンにも手こずっているようだ。要するにラッシュを観た彼女が、自分の小間使役がマレーネ・ディートリッヒに比べて惨めなので(しかし本来はそうあるべきなのだが)どんどんメーキャップをして美しく(?!)してしまったようだ。役柄を理解してないということか。はたまたプロ精神に欠けていたというべきか。

 その点、マレーネ・ディートリッヒは大したものだ。過剰演技でもなく堂々としている。そういえばイングリッド・バーグマンは、やや演技過剰かもしれない。

 それはともかくこの本によると、トリュフォーも言っているが、やはり[山羊座のもとに]同様、失敗作であった、と。私が気がついたのは、オープニングシーンでは、クーパーが無実の罪を着せられたと回想しているのだが、どうやらそれは虚偽であったことが分かってくる。

 その嘘が何重にも重なってきて、最後にどんでん返しとなるのだが、やや釈然としにくい。従来、ヒッチコック監督作品といえば、はじめに犯人も手口も私たちに示しておいて、それを解いていく面白さがあったわけだ。

 今作も同様に考えて、私などは観ていたが、実はそれは嘘であったというわけだ。なおヒッチコック自身は何が失敗かについて、「悪役」を作り切れてなかったと。[汚名]や[見知らぬ乗客]のような悪役を描けなかった点だ、としている。

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