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【こんな映画でした】373.[ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択]

2022年 6月 7日 (火曜) [ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択](2016年 CERTAIN WOMEN アメリカ 106分)

 ケリー・ライヒャルト監督作品。四人の女性たちの生き方をたんたんと描く。説明的ではない映画なので、そういう意味で分かりにくい映画とも言える。結局、何を言いたいのか・描きたいのか、と考えてしまう。まずはありのままを観ていくだけでいいのだろう。

 四人の女性たちは、弁護士をローラ・ダーン(撮影当時48歳)、妻であり母親をミシェル・ウィリアムズ(撮影当時36歳、北欧系アメリカ人)、夜学の教師をクリステン・スチュワート(撮影当時25歳、最近観た[パニック・ルーム]2002年、では子役で出ていた)、そして牧場で働くジェィミーをリリー・グラッドストーン(撮影当時29歳、ネイティブのようだ)。

 原題の「certain」には形容詞で「確かな、確実な、確信して、間違いのない、疑う余地のない、信頼できる、必ず~する、特定の、一部の、ある種の、とある、いくらかの」との意味のうちのどれに当たるのだろうか。「ある種の女性たち」か「信頼できる女性たち」か?

 映画はオムニバス風に作られている。第一話がローラ・ダーン主役。彼女の依頼人の男性が、なかなか納得してくれず、すでにその状態が八ヶ月も続いている。とうとう仕方なく彼女は、男性弁護士のもとへセカンドオピニオンを求めに依頼人とともに行く。そうするといとも簡単に彼は納得するので、彼女は自分が女だから依頼人は、言うことを聞いてくれなかったのだとがっかりすることに。しかしこれは、最後まで観ていくと違うことが分かる。依頼人の彼は女性弁護士に依存していたというか、ある種の幅広い意味での愛情を求めていたのだろう。それがラストシーンで第三話の後、再び出てきた私たちに分かることに。

 第二話は、夫婦仲のあまり良くなさそうな、つまり倦怠期でもあろうか、そんな夫婦とその娘がメインキャストである。彼らは郊外の自然の中でテント生活を週末に送っている。当然のように娘は母親に反抗的で、父親はそれを何とか取り持とうとするがムダに終わる。彼らは家を作ろうとしているようで、近在の老人から砂岩を譲り受けるために、その家を訪問する。気難しい老人から何とか約束を取り付ける。

 第三話は、牧場で働くジェィミーが主人公で、仕事が終わって、夜、フラッと町中を歩いていると、夜学が開かれている場所が目に入る。好奇心からそこに入ってみると、若い女性(クリステン・スチュワート)が教師としてやってきて、「学校法について」という講義をやり出す。終わってから最後まで残っていたジェィミーに、どこか食事ができる所がないかと問いかける。一緒に食堂へ入る。ジェィミーは水だけ。何を話すと言うこともなく時間が過ぎて別れていく。それが何回か繰り返される。この監督は、同じシーンを何回も繰り返して観せる。説明的ではないが。
 そしてついに何回目か、ジェィミーが教室にやって来ても、その教師は来ない。辞めた、という。そこで彼女は、その足でその教師(やはり弁護士だったが)の住むリビングストンへ向かう。朝、クルマで待っていると、彼女がやって来る。怪訝な表情でジェィミーを見る。ジェィミーは照れくさそうに「来ちゃった」、と。わずか2分ほどの再会で、分かれとなる。彼女はオフィスへ。ジェィミーは牧場へ。帰途、居眠り運転で路肩から外れてしまうことに。

 以上でオムニバスはおしまいだが、もう一度繰り返しとしておさらいのように第一話から順に「後日談」が描かれることになり、ジェィミーの牧場のシーンで映画は終わる。

 気になったので、リビングストンでのジェィミーと教師の会話を英語字幕でチェックしてみた。日本語字幕では表せないニュアンスがある。ジェィミーの気持ちがよく分かる。片思いの愛情というべきか。教師には通じないようだが。いずれにせよ良いシーンだろう。

 Hey. I drove over.(「来ちゃった」、と訳している)
 (Thought I was in the wrong place. You drove here?)
 Feel sorry you stopped teaching the class. I looked forward to it.
 I don't mean to keep you from getting to work or anything.
 I just knew if I didn't start driving, I wasn't gonna see you again.
 Didn't want that. That's all. Okay. Well, I have to go feed now.

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