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【こんな映画でした】46.[ザ・コミットメンツ]

2022年 3月18日 (金曜) [ザ・コミットメンツ](1991年 THE COMMITMENTS イギリス 118分)

 アラン・パーカー監督作品。舞台はアイルランドのダブリン。メイキングで監督が言うには、ここでの輝ける将来は「プロボクサーか、サッカー選手か、音楽しかない」と。毎晩ダブリンでは1200ものバンドが演奏しているとか。そんな彼らを数多く見、オーディションをして出演者を決めたとのこと。

 マネージャー役のジミーがバンド、それもソウル系のそれを結成しようということで、オーディションをし、メンバーを決め、といった内容。紆余曲折あって何とかメンバーを揃え、「ザ・コミットメンツ」というバンド名でライブをやっていくのだが、メンバーどうしのトラブル続発でジミーは苦労することに。

 最終的にメンバーが四分五裂し、このバンド(もちろん虚構、小説のなかでのそれだが)は解散。それぞれがそれぞれの道を歩み、それを紹介しつつ映画は終わる。歌の上手いイメルダは結婚とともに、夫から歌うことを禁じられたとのこと。悲しい現実である。つまりこの映画は、成功物語ではなく、挫折した青春物語である。

 それにしてもアイルランド、あるいはアイルランドのダブリンは貧しいようだ。もちろん彼らが労働者階級であり、下町に住んでいるからそうなのかもしれないが。これまで観たアイルランドを扱った映画を思い出してみても、経済的な困窮からアメリカへ移民していく話、例えばシアーシャ・ローナンの[ブルックリン]が思いだされる。

 アイルランドに限らず、世界は貧しい、貧しさの中で苦しんでいるとも言えよう。こういった貧しいところほど、子どもたちはモラトリアムの時期を経ずに直ちに大人になる。ならざるを得ないわけだ。ここでのボーカリストのデコは、何と撮影当時の実年齢が16歳であったという。

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