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【こんな映画でした】173.[私は告白する]

2020年 7月27日 (月曜) [私は告白する](1953年 I CONFESS アメリカ 95分)

 アルフレッド・ヒッチコック監督作品。主演はモンゴメリー・クリフト、相手役にアン・バクスター([イヴの総て]のイヴ役を観ている)。解説には「宗教と愛情のはざまで揺れる、これぞ心理サスペンスの傑作!」とあるが、なるほど。

 カトリックの宗教上の約束事をアイテムとして使っている。上手いものだ。要するに「告解」である。これは絶対の秘密なので、このドラマのような状況におかれても、決して他言できないのだ。

 犯人はそれを利用して、神父にその犯罪の責を負わせようとする。多分に偶然的な面もあるが、まずは計画的な犯行と見ていいだろう。人の魂の救いに協力しなければならない神父という立場を、狡猾にも利用している。

 そして私の予想通り、神父はその責務を最後まで貫く。その身代わりというべきか、罪の呵責に耐えられなくなった犯人ケラーの妻が、まさしく告白し、と同時に夫によって射殺されてしまう。

 たしかにフワッとしたところがほぼない映画だが、少しはユーモラスなところもある。神父の自転車が何度も倒れてしまうところなど。なおトリュフォーは『映画術』でのヒッチコックとの対談で、モンゴメリー・クリフトを激賞している。アン・バクスターは代役(?)だったようだ。

 翌日ザッと見直す。カメオ出演はいきなりだったので見逃していた。あとやはりケラーがローガン神父に罪を着せるのは計画的だったと分かる。なお『映画術』によると、ラストは違っていたようだ。つまりローガン神父は死刑、とのこと。製作者から反対されたのだろうか。アメリカ映画では主役は死なないことになっているとも、読んだことがあるが。

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