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【こんな映画でした】424.[痴人の愛]

2022年 5月20日 (金曜) [痴人の愛](1934年 OF HUMAN BONDAGE 人間の絆 アメリカ 81分)

 ジョン・クロムウェル監督作品。レスリー・ハワード(撮影当時40歳)とベティ・デイヴィス(撮影当時25歳)主演。ひとことで言うなら悪女であるコケティッシュな女性を見事に演じている。なるほど、これならこの先、女優として人気が出ること間違いないと思わせられるものがある。まずは美女である。

 ラストシーンの結婚相手サリーはやはり平凡なごく普通の女性である。あと援助をしてくれたノラもそうだ。男はどうしても悪女に惚れてしまうものかと思ってしまう。しかしそれは、その男性のそれまで培ってきた人生観・価値観のなせるもので、一般的に誰でもがそうななるわけではない。

 原作はサマーセット・モームの『人間の絆』。邦題の「痴人」とは、「愚かな人・馬鹿者」の意だが、強い表現だ。たしかに人間は、そして就中、男は痴人なのであろう。小説『痴人の愛』は、谷崎潤一郎の1925年のもの。内容的にはたしかにこの映画と似ているところがあるようだ。

 「BONDAGE」は名詞で「隷属性、(行動の自由の)束縛、農奴の境遇、捕らわれの身、奴隷の身分、屈従」といった意味があるようだ。「絆」は「馬、犬、鷹などの動物をつなぎとめる綱。人と人とを離れがたくしているもの。断つことのできない結びつき。ほだし」とある。いずれにせよ良い意味ではないだろう。

 廉価版のDVDは、画質も字幕の訳もいま一つだ。字幕は過去の作品から持ってくると著作権に引っ掛かるからだろう。翻訳の質が心配だ。観ていても役者が発声しているのに、字幕には出てこない・タイミングが遅れている場合もあり、やはり気になる。難しいところだ。

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