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【こんな映画でした】220.[戀の十日間]

2021年11月20日 (土曜) [戀の十日間](1944年 I'LL BE SEEING YOU アメリカ 85分)

 ウィリアム・ディターレ監督作品。[旅愁](1950)でもジョセフ・コットンで。原題の「I'll Be Seeing You」は1938年のミュージカルの一曲とのこと。

 主演ジンジャー・ロジャーズ(撮影当時32歳)、ジョセフ・コットン(ザック役、撮影当時38歳)、シャーリー・テンプル(バーバラ役、撮影当時16歳)。

 解説は「服役中の女性がクリスマスに仮出所し、田舎へ向かう道中に知り合った兵士と恋に落ちる。ジンジャー・ロジャーズのアカデミー主演女優賞受賞作『恋愛手帖』に劣らない見事な作品!」、と。

 これもクリスマス映画の一つとしてみていいか。オープニングシーンで大きなクリスマスツリーが駅に飾られていた。内容は恋物語ではあるが、この男女にはそれぞれ深刻な事情があったという設定。

 女性は過失で人を死なせてしまい拘置所で6年の刑に服している。模範囚ということでクリスマス休暇(?)を10日間与えられる。男性は軍曹で、言うなれば「戦争神経症」。ここでは単に「神経症」としている。

 製作されたのが1944年ということで、まだ戦争中。ガタルカナルの地名や日本兵(もちろん、japと言っている)を殺してやるとか話している。戦意昂揚映画ではもちろんないが、少しはその雰囲気をセリフとして言わせている。

 何より驚かされるのは、この第二次世界大戦でも少なくない兵士がこの戦争神経症になっていたということを、このような娯楽映画で描いていることだ。作中ではコーヒーショップの主人が第一次世界大戦で自分はそうなったのだ、と。

 また大晦日のダンスパーティーで、ザックが上院議員に紹介された時、戦争中に兵士はどのようなことを考えているかと尋ねられて答えるシーンがある。これはちょっとヒヤッとした。愛国的な言葉を期待しての質問であったろうから。一般論で切り抜けていたが、彼ら質問者は不満であったろう。

 監督としては精一杯の戦争に対する反対の意思を表現していたとも思える。戦時中なので限界があるが、その中で表現できることを描いていると私は思う。

 とまれお互いにある種の秘密を持ち、それについて告白するかどうか悩み、そして最後は悪意のないバーバラのお喋りから発覚(?)。それを乗り越えて結ばれることに。ま、ハッピーエンドということに。

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